2章. 学校生活の幕開け

第47話. 異世界の少年、地球で初登校日を迎える。①

 ピロン、ピロン。


 「ん……ん」


 俺はアラームが鳴っているスマホを手に取り、アラームを止める。


 そして、俺は布団から体を起こして手を伸ばしてストレッチをして、顔を洗いに洗面所へと向かう。




 髪をセットし、スクールバッグの中身を確認したあと俺は、リビングに向かう。

 リビングに入ると、美味しそうな匂いが俺の鼻を擽り、既に起きていた美咲はエプロンをつけて朝食の準備をしていた。


 「美咲、おはよう」

 「あ、シンくん、おはよう。もう少しで朝ごはんできるから、少し待っててね」

 「分かった。ありがとう」


 俺の挨拶で気づいた美咲は俺の方に振り向き、笑顔を向ける。




 朝食ができあがるのを待つこと5分……


 「シンくん、朝ごはんできたよ」


 朝食が完成し、美咲はソファで待っていた俺の名前を呼ぶ。


 俺は美咲に名前を呼ばれて、ソファから立ち上がりにダイニングテーブルへと向かう。


 ダイニングテーブルの上には、鮮やかなオレンジに焼き上がった鮭の塩焼きに、プルプルとした玉子焼き、赤味噌の濃厚な香りが鼻腔をくすぐるわかめの味噌汁、そして白米が並べらていた。


 美咲がエプロンを外して席についたのを確認して、俺と美咲はそれぞれ手を合わせる。


 「「いただきます」」


 俺と美咲は食べ物に感謝して、箸を手にする。


 まず、俺は美咲が作ってくれたわかめの味噌汁を軽く啜り、素直に感想を伝える。


 「いつ食べても美咲の料理は美味しいね」

 「……うん。ありがとう。それとシンくん、毎食褒めてくれるのは嬉しいけど、別に毎食しなくても良いからね?」

 「なんで?」

 「なんでって……毎回褒められると流石に恥ずかしいから」


 美咲は一度下を見ながら少し小さな声で答える。

 俺が美咲の顔を覗くと、美咲の頬が少し赤くなっているのが見受けられた。

 可愛いな、おい。


 次に俺は大好物の玉子焼きを一口サイズに箸で上手に切り、口へ運ぶ。

 美咲が作る玉子焼き、毎回食べる度に丁度良い甘さが口の中に広がって美味いんだよな。

 俺は心の中で美咲の手料理を褒め、幸福に染まっていた。



 「シンくん、今日から学校だけど大丈夫そう?」


 朝食を食べ進めていると、美咲は心配そうに尋ねる。


 「うん。少し緊張するけど、緊張より楽しみの方が大きいかな」

 「そうなんだね。早く日本の学校に慣れると良いね。あ、それと、同じクラスになれると良いね」

 「そうだね。美咲と同じクラスになると安心できるかも」


 俺は心の中で美咲と同じクラスになれることを祈りながら、残りの朝食を食べ進める。食べ進むうちに空腹は満ち、最後の一口を口に運ぶと、満足感が広がる。




 時刻は7時30分。



 「シンくん、準備できたー?」

 「うん。今行くー」


 俺は自分の部屋で陽川高校ひかわこうこうの制服に着替えていた。

 初めてこの世界の制服を着たが、俺が通っていた学園の制服よりも着心地が良い。


 新しいシャツの生地が俺の肌に心地良く寄り添っている。そしてボタンを留める瞬間、ややきつめの袖が手首を包み込む。



 俺は教科書などが入ったスクールバッグを片手に持つと、玄関へと向かった。


 俺が玄関で靴を履いていると二階から制服を着こなした美咲が階段を降りてきた。


 「忘れ物ない?」


 美咲に言われて、俺はもう一度スクールバッグの中を確認する。

 教科書よし。筆箱よし。


 「大丈夫だと思う」

 「分かった。それじゃあ、行こうか」

 「うん」


 美咲が靴を履き終えると、俺と美咲は玄関の扉を開け、駅へと歩き始めた。




 駅に向かって歩くこと10分……

 

 俺と美咲は最寄り駅に着き、ホームで電車を待っていた。



 「間もなく1番線に––––––––––」



 ホーム内にアナウンスが流れ、緑色の車両が特徴的な電車が到着する。


 「シンくん、足元気を付けてね」

 「うん」


 俺は電車とホームの間に足を挟まないように気をつけながら、電車に乗り込む。


 美咲が言っていた通り朝の電車は混雑しており、車内には様々な人が集まっていた。窓の外から差し込む朝陽が、車内を柔らかな光で照らしている。


 編入試験を受けに行った際にも電車を乗ったが、その時は昼過ぎだったこともあり、そこまで車内は混雑していなかった。



 「次はー、⚪︎⚪︎ー、⚪︎⚪︎ー。お出口は右側です––––––––––」


 俺と美咲が10駅分、時間に換算して20分ほど電車に乗ると、電車は学校の最寄り駅に着く。


 「シンくん、降りるよ」

 「うん」


 電車のドアが開くと俺と美咲は電車から降りる。

 ホームに降りると、俺たちが今着ている陽川高校ひかわこうこうの制服を着ている人たちをちらほら見かけるようになる。




 「シンくんは、まずは校長室に行くんだったよね?」

 「うん、そうだよ。なんか校長先生直々にクラスを教えてくれるらしい」


 俺と美咲はこの後の流れを確認しながら学校に向けて歩き進める。

 学校に近づくにつれて、陽川高校の制服を着ている人たちが段々と増えてくる。




 「じゃあ、俺はこっちだから」

 「うん」


 俺と美咲は無事学校に着き、俺は校長室に、そして美咲はいつもの教室に向かうため、廊下で別れた。

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異世界の少年、地球で新たな青春を満喫する。〜逆・異世界に飛ばされたと思ったら、共同生活からの学園生活を送ることになった件〜 よっしーよっ君 @yoshi904

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