第11話. 異世界の少年、地球でお出かけする。③

 「シンくん、着いたよ」


 美咲の小柄な背中を追っていくと、次なる目的地、靴屋に辿り着いた。


 店内は木の温かみを感じるシックな内装で、様々なデザインの靴が美しく陳列されている。


 美咲曰く、この店に売られてる多くの靴はシューズやスニーカーと言うらしい。


 俺の世界では、皆同じような種類の靴を履いていた。学園では靴を指定されており、その靴を俺は履いていたが、学園がない日も同じ靴を履いていたので、この店に売られてるシューズはどれも俺にとっては新鮮だった。



 「シンくん、この靴なんかどう?」


 美咲と店内を回っていると、美咲は一つのスニーカーを俺に勧めてきた。


 そのスニーカーには鮮やかなロイヤルブルーがアッパーを彩り、白いソールが際立っていた。シュータンにはユニークなデザインが施され、シューレースは黒と赤のコントラストで、スニーカー全体にエネルギーと個性が満ちていた。


 俺は美咲から靴を受け取り、近くの椅子に座って、試しに履いてみるとフィット感が凄く、今着ている服との相性がとても良かった。


 「この靴良いかも。フィット感がいいし」

 「私も似合ってると思うよ。その靴にする?それとも他のも履いてみる?」

 「いや、この靴で良いよ。結構、気に入ったし。ありがとう」


 俺が優しい口調で断ると、美咲はスニーカーを持ってレジの方へと向かう。


 

 靴屋の前で美咲のことを待っていると、お会計を済ませた美咲が店内から出てきた。


 「美咲、ありがとう」

 「どういたしまして」


 俺は改めて、美咲に心から感謝する。


 「シンくん、とりあえず買い物は一通り終わったし、少し遊んでから帰る?」

 「良いね」


 俺は美咲の誘いを受け入れる。

  

 「じゃあ、ゲームセンター行こうか」

 「ゲームセンター??」

 「うん。私についてきたら分かるよ」


 「ゲームセンター」と聞いても俺は全く分からなかったので、また美咲の後をついていく。




 「ゲームセンター」という場所に着くと、鮮やかな光、今まで聞いたことのない音楽、そしてどこからか聞こえる騒音に俺は驚きを隠せていなかった。


 「すご」


 俺は思わずポツリと呟く。

 

 「でしょ?」

 「うん」


 美咲はなんだか少し嬉しそうな表情をしていた。


 「シンくん、何やってみたい?」

 「じゃあ……あれ」


 美咲に言われ、俺は目の前にあるマシンを指差す。


 「エアホッケーね。良いね。やろっか」


 

 エアホッケーのマシンの前に来ると、美咲は「100円」と書かれたコインをマシンに入れた。


 「遊び方は簡単だよ。このパックをこっちのパドルを使って、相手の真ん中にある穴に入れれば1点。先に5点取るか、制限時間5分経った時に点が高かった方の勝ちだよ」

 

 美咲は右手にパック、左手にパドルを持ちながら遊び方を説明する。


 「なるほど……」


 何となく俺は遊び方を理解した。


 「じゃあ、シンくんから始めて良いよ」


 美咲はそう言い、俺にパックを渡してきた。

 美咲からパックを受け取ると、俺は目の前にパックを置いた。そして、右手に持ったパドルで思いっきりパックをゴールを目掛けて弾いた。


 カチン!


 しかし、見事にそれは美咲に弾き返され、「カチン、カチン」とテーブルの両端に当たりながら、俺の元へ帰ってきた。そして、俺の目の前にある穴にスッポリと入った。


 GOAL!!


 機械音が鳴り響き、スコアボードが0-1へと変わる。


 「シンくん、膝あたりの高さにパックが入ってるから、それを取って」


 美咲に言われ、俺は少ししゃがみ、パックを取り出す。


 「次こそは……」


 俺はもう一度、目の前にパックを置いた。そして、今度は真っ直ぐではなく、テーブルの端に向かって力強くパックを弾いた。

 しかし美咲に再び弾き返され、俺の元へパックが戻ってくるが、俺は戻ってきたパックを上手く弾き返すことに成功する。そのあとも何度かラリーが続く。しかし……


 GOAL!!


 再び機械音が鳴り響き、スコアボードが0-2へと変わる。

 

 点を決められてしまったが、俺はなんだかコツを掴んだ気がした。


 「美咲、俺勝ちにいくから」


 俺は闘志を抱き、美咲に宣戦布告する。


 「シンくん、私負けないからね」


 同じく美咲も目に火を灯す。

 

 そして、美咲とのエアホッケーの試合が再開した。



 GOAL!!


 スコアボードが1-2へと変わる。


 「シンくん、やるね」

 「まあね」


 ようやく俺は1点目を決めた。

 美咲はまだ余裕な目つきをしていた。


 「それじゃあ、シンくん、いっくよー」



 GOAL!!

 1-3


 カチン、カチン!


 GOAL!!

 2-3


 GOAL!!

 2-4


 GOAL!!

 3-4


 カチン、カチン!


 GOAL!!

 スコアボードが4-4へと変わる。



 「シンくん、初めてなのにやるね」

 「ありがとう。美咲の方こそ、やるね」


 俺と美咲は互いに心を燃やしていた。


 「それじゃあ、これが最終ラウンド。これで、勝負を決めるよ!」

 「さあ、こい!」


 俺は右手でパドルを強く握り締めて構えた。

 そして美咲は目の前にパックを置き、そのパックを思いっきり弾いた。

 ラリーが暫く続く……

 残り時間も段々と減っていく……


 6、5、4、3、2……


 GOAL!!


 残り1秒を残して、最後のGOAL音が鳴り響いた。






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《お知らせ》(12/21/23)

キャラクターのイラストをAIを利用して生成しました。僕自身が想像してるキャラクターに仕上がってるので、もし良ければご確認下さい。「第0話.」の前にあります。


1/4/24より1/31/24まで更新日および更新頻度を変更します。

変更後: 21時頃更新。、1/14/24〜1/30/24の期間は、18時頃にも更新し1日で計2エピソード更新。

(*一方で、1/31/24で更新するエピソード数は未定です。ストーリーの展開次第で決定致します。)



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