第46話. 異世界の少年、地球で夏休み最終日を過ごす。

 夏祭りを楽しんでから数日後にはみんなとプールにも行って、俺はこの夏休みを満期したと思っている。

 もちろん、元の世界に帰る方法も魔導書を漁りながら調べていた。



 そして、今日は夏休み最終日である。

 俺は明日から美咲たちと同じ高校・陽川高校ひかわこうこうに通うことになる。

 

 楽しみの反面、少し不安もある。

 まず楽しみなこととしては、学校がある日は毎日悠斗たちと会うことができるようなることだ。今までは遊びに行く時ぐらいにしか顔を合わせていなかったが、悠斗たちと同じ学校で青春を送ることができるようになるのは素直に嬉しい。加えて、悠斗たち以外との新たな交流が待っていて楽しみである。

 一方で不安なこととしては、勉強と環境だ。俺が通っていたレオナ魔法学園では主に魔法について学んでいたが、魔法が存在しないこの世界では魔法を学ぶ授業が存在せず、様々な科目が用意されている。国語と英語に関しては《言語理解リンガイ》でどうにかなり、数学に関しては編入試験を受けた際に勉強したから平気だが、理科や社会などいった科目は今まで全く受けたことがなかったので不安だらけだ。つまり、授業に追いついていけるかが不安であるということだ。もう一つの不安要素は、環境の変化である。俺が通っていたレオナ魔法学園とこっちの世界の学校での環境は異なると予想されるため、俺がこっちの世界の学校環境に適用できるか不安だ。




 時刻は17時過ぎ。



 「––––––––––ここがカフェテリアね。まあ、明日学校を案内しながらもう一度説明するけど、とりあえず今はこんな感じかな」

 「う……うん」


 美咲は校内図をダイニングテーブルの上に広げながら、丁寧に学校内を俺にレクチャーしている。


 「シンくん、大丈夫かな?情報多過ぎたかな?」

 「うん。大丈夫だよ」


 実際情報量は多いが、頭がパンクするほどではない。


 「じゃあ、次は学校のルールだね」

 「うん」

 「まず、学校では––––––––––」


 学校内の説明を終え、俺の返事を聞いた美咲は、今度は学校内でのルールのうち、大事なルールだけ説明し始める。



 「––––––––––っと、こんな感じかな」

 「なるほど。ありがとう」


 学校のルールについて詳しくそして分かりやすく説明をしてくれた美咲に俺は感謝の言葉を伝える。


 「それじゃあ、そろそろ夕飯の支度を始めようか」

 「俺も手伝うよ」

 「そう?ありがとう」


 美咲がダイニングテーブルに椅子から立ち上がると、俺も立ち上がる。


 夏休み期間中に俺は美咲と何度か料理を一緒にして、少しずつ料理の腕が上達してきた。


 


 俺は美咲のことを手伝いながら一緒に夕飯を作り進め、熱々のカレーライスを作り終える。


 できあがった熱々のカレーライスは香り豊かなスチームを立てており、その香りはスパイと野菜が絶妙に調和し、食欲をそそる。

 プレートに盛り付けられたカレーライスは、ゴロゴロとした具材がたっぷりと乗っている。色鮮やかな野菜やジューシーな肉が、濃厚なルーと一体になっている。ライスはふっくらと炊き上げられ、スプーンですくった瞬間にほんのりと香るご飯の香りが広がる。

 カレールーは濃密で、その濃厚な味わいがプレートいっぱいに広がっている。スパイシーながらもまろやかな辛さが、俺と美咲を包み込む。具材はトロトロと柔らかく、噛むたびに旨味が広がる。



 「「ごちそうさまでした」」


 俺と美咲は食べ物に感謝して、カレーライスを食べ終えた皿を流しに運ぶ。


 「シンくん、先お風呂入ってきていいよ。私食器洗っておくから」

 「そう?ありがとう」


 俺は美咲の言葉に甘えて、先にお風呂へと入った。




 時刻は22時過ぎ。



 「シンくん、そろそろ寝よっか。明日、朝早いし」

 「そうだね」


 美咲はテレビを消し、ソファから立ち上がってリビングの外に出る。

 俺もスマホを片手に持って、ソファから立ち上がる。


 「じゃあ、電気消すね」

 「うん」


 俺がリビングの外にいると、リビング内を1度チェックした後、美咲はリビングの明かりを消す。


 「じゃあ、シンくん、おやすみ」

 「うん、おやすみ」


 俺と美咲は互いに良い眠りができるようにと願いながら、それぞれの部屋へと向かう。




 俺は自分の部屋で寝る準備を進め、準備を終えると、体に暖かい布団をかけた。

 そして、アラームを設定したスマホを側に置いて眠りについた。

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