第14話. 異世界の少年、地球で家族を思い出す。
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青空には爽やかな風が流れ、木々の葉が微かに揺れる。太陽の光は暖かさを運びながらも、風が心地よい涼しさをもたらす。空気中には新鮮な匂いが漂い、遠くで小鳥のさえずりが耳に心地良く響く。
俺は今家の前に母さんとリリスと一緒にいる。そして、目の前には長さが2mほどあり、先端には水色の水晶があるステッキを持った父さんがいる。
「父さん、今度はどこ行くの?」
俺は父さんに小さな声で尋ねる。
「今度はな……シンたちに美味しいものを沢山食わせるために沢山稼ぎに行ってくるんだよ」
父さんは軽く膝を曲げ、俺の頭を優しく撫でながら俺の質問に優しく答える。
「……分かった。早く帰ってきてね」
「おう」
「
「ああ。ありがとう。じゃあ、行ってくるよ。エレナ、子供たちを頼む」
「「行ってらっしゃい」」
俺は手を振りながら家族と一緒に父さんを見送る。
当時7歳だった俺には、父さん・ゼニス、母さん・エレナ、そしてまだ3歳の妹・リリスがいた。父さんはCランクの冒険者であり、家族のために毎日依頼をこなして稼いでいた。そのため、父さんが家にいることはあまり無かった。
冒険者にはSS、S、A、B……E、Fランクの計8階級に分けられている。ランクが高いほど難易度が高い依頼を受けることができるようになり、成功した際の報酬額がグッと上がる。F→E、E→D、D→Cは一定数の依頼を成功させれば誰でも昇級することができるが、C→B、B→A、A→S、S→SSに昇級するには、一定数の依頼を成功させ、かつ冒険者ギルドで昇級試験を受ける必要がある。もちろん、その試験内容はランクが上に上がるにつれて難易度も上がる。そして、依頼にもSS、S、A、B……E、Fとランク付けされており、自分と同じランクもしくは、それ以下のランクの依頼を受けることが可能である。
今までSSランクになった冒険者は1人しかおらず、今現在、世界中でSSランクの冒険者は0人、Sランクの冒険者は7人、Aランク冒険者は約100人存在する。
また、冒険者には3つの役職がある。1つ目は剣士などといったアタッカー。主に、剣や槍、斧などといった武器を扱い、接近戦においての攻撃を主な役割とする役職である。そして、2つ目は魔術師。主に、ステッキなどを利用して中距離、遠距離などの距離から魔法での攻撃、魔法での防御などを主な役割とする役職である。最後に、3つ目は
通常、魔術師は回復魔法を扱うことができず、
父さんはそこまで強いわけでもなく、弱いわけでもなかった。ただごく普通の魔術師であった。父さんは、俺たち家族が住む住民が300人ほどしかいない王都から数キロ離れた小さな村の中で5人組のパーティを作り、少しずつ依頼をこなしていた。
「母さん、僕、レンと遊びに行ってくるね」
「夕飯の時間までには帰るのよ」
「はーい」
俺は元気よく返事をする。
父さんを見送った後、母さんの許可を得た俺は、友達のレンが住む家に向かう。
「レンー。一緒にあーそーぼ」
俺はレンの家の前でレンの名前を呼ぶ。
「シンか?」
「うん、そうだよ」
「分かった。ちょっと待って」
レンの返事を聞いて数分後、目の前の扉からレンが出てくる。
「なー、シン」
「何?」
「レイナも誘わないか?」
「良いね。じゃあ、レイナの家に行こ」
そして、俺とレンはレイナが住む家へと向かう。
「俺、将来父さんみたいな剣士になりたいな」
「いきなりなんだよ」
俺とレン、レイナが村の小さな広場で鬼ごっこをして疲れ、草の上で休憩していると、レンが急な謎の発言をする。その唐突なレンの発言に対し、俺は一笑する。
「だってよ、剣士ってカッコいいじゃん。敵を次々に剣で倒していくんだぜ。俺もお父さんみたいな剣士になりたいな」
「私は、
レンとレイナは少し興奮気味に夢を見るように語る。
「レイナならきっと
「レンくん、ありがとう」
「ところで、シンはどうなんだよ?」
レンは俺に質問を投げ飛ばす。
「俺は魔術師かな」
「まあ、シンの父さんは魔術師だもんな」
「うん」
レンは俺の回答に納得していた。
レンのお父さんは剣士であり、レイナのお父さんは
数日後、父さんは家に帰ってきた。
「ただいま」
「おかえり」
「おかえりなさい」
俺と母さんは父さんを快く迎え入れた。
「これ、今回の依頼の報酬だ」
父さんは、銀貨が数枚入った袋を母さんに渡す。
「
母さんは有り難く、父さんから袋を受け取る。
この世界での通貨は銅貨、銀貨、金貨の3種類である。銅貨10枚で銀貨1枚。銀貨100枚で金貨1枚。王都に住むには毎月金貨10枚ほど稼げる人ではないと厳しいと言われている。このことから、王都に住む多くの人は貴族であった。そして、王都外に住む多くの人たちは平民と呼ばれていた。
俺の家では常に毎食一品だけだった。通貨に換算すると、大体毎食銅貨3枚ぐらいだろう。それでも今まで俺はこの生活に不服を感じたり、不幸だと思ったことは一度もない。寧ろ、毎日家族のために一生懸命働いてくれている父さんや、毎食美味しいものを作ってくれる母さんに感謝している。
「ごちそうさま。じゃあ、母さん、父さん、おやすみ」
「おやすみ」
俺は母さんが作ってくれたじゃがいもとにんじんのクリームスープを美味しく食べ終えると、寝室に向かい、シーツを被せて眠りにつく。
「シン!シン、起きろ!」
俺は父さんに叩き起こされた。
俺は目を軽く擦っていると、寝室にある窓からガラス越しに何かしらの熱さを感じた。
その熱さが気になった俺は窓辺に近づき、外の景色を眺めた。すると、普段は静寂な村が、今は違った様相を呈していた。遠くから立ち上がる黒煙が空を覆い尽くし、遠くで赤い炎が高く舞い上がっていた。
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