第36話. 異世界の少年、地球で夏祭りに行く。①
浴衣を購入してから3日後。夏祭り当日。
「これをこうして––––––––––」
俺は3日前に購入した青い浴衣の白い帯を結び進める。
「できた」
俺は無事に浴衣を着終え、浴衣を購入した時に同時に購入した深青の信玄袋を持って玄関へと向かう。
俺は玄関框にゆっくりと腰を下ろして、信玄袋からスマホを取り出して美咲を待つ。
10分後……
「シンくん、お待たせー」
浴衣姿になった美咲が階段をゆっくりと降りてくる。
「ごめん、待たせちゃったかな?」
「いや、俺も今着替え終わったから。それにしても美咲、その浴衣めっちゃ似合ってるね」
「そう?ありがとう」
目の前にいる美咲は喜びに表情を浮かべて、その場でくるりと回る。
美咲の浴衣姿を見るのは今日が初めてだったが、予想以上に可愛かった。
美咲が身にまとってる浴衣は、淡いピンク色の浴衣である。浴衣の生地は軽やかで、柔らかなピンクの花柄が全体を覆っている。帯や縁取りには、白やゴールドの模様が施されていて、甘さと清涼感が程よく調和している。
美咲のセミロングヘアは軽くまとめられ、浴衣に合わせた花飾りが可愛さを引き立てている。美咲の笑顔は天然らしく、自然な明るさが顔に広がっている。
「それじゃあ、行こっか」
「うん」
美咲は夏らしい明るい色彩で彩り付けられた下駄を履いて、玄関の外へと出る。俺も美咲に続いて、スニーカーを履いて外に出る。
歩くこと20分……
俺と美咲がことりたちとの待ち合わせの場所・
「ごめーん。お待たせ」
ことりたちの姿を見つけた美咲は、少し急ぎみに歩く速度をあげる。
「全然良いよ。私たちもさっき着いたばっかりだし。それに、まだ集合時間までは30分あるし」
「そう?ありがとう」
「うん。それにしても、さきりん可愛すぎない?」
「ありがとう。ことりの浴衣も可愛いよ」
「やったー!ありがとう」
ことりは美咲に浴衣を褒められてご機嫌な表情を浮かべる。
ことりは柔らかな水色の浴衣を身にまとい、夏の風に揺れる涼やかな雰囲気をまとっている。浴衣の生地は軽くて風通しの良いもので、淡い水色がことりの清純でふんわりとした性格を反映している。
浴衣の帯は程よく緩めに結ばれ、その先が優雅に垂れ下がっている。ことりの髪は軽くアレンジされ、ツインテールの根本には水色のリボンが付けられている。
「ねーさきりん、写真撮って良い?撮って良い?」
ことりは美咲の浴衣姿を見て興奮気味にスマホを美咲の前で握っている。
「しょうがないなー。良いよ」
「ありがとう」
美咲の許可を得たことりは、美咲の浴衣姿の写真をスマホに数枚納める。
「さきりん、一緒に写真撮ろ!」
「あ、うん」
美咲の浴衣姿の写真を撮り終えたことりは次に、美咲と一緒にセルフィーを撮る。
「シン、その浴衣似合ってるな」
美咲とことりのやり取りを眺めていると、悠斗の声が聞こえてくる。
「そ、そう?ありがとう」
「俺も似合ってると思うぞ」
悠斗に続いて浩介も相変わらずのクールな表情で感想を述べる。
「これ、こないだ買いに行った時に気に入ったんだよね」
「へー、良いと思うぜ。シンの青い目とマッチしててカッコいいぞ」
「あ、ありがとう。まさか、美咲と同じことを言うとは思わなかったよ」
俺は美咲と全く同じ感想を聞いて微笑みを浮かべる。
「そうだったのか」
「うん」
「悠斗くんと浩介くんの浴衣も似合ってると思うよ」
「そ、そうか。ありがとな」
「そうか」
2人とも浴衣姿がとても似合っていた。
悠斗は明るいオレンジの浴衣を着ており、夏の日差しに映えながらも爽やかな印象を与えている。浴衣の生地は柔らかく、涼しい風を通し、悠斗の元気なエネルギーを感じさせる・
浴衣の帯は、活発な悠斗のイメージに合わせてしっかりと結ばれ、帯の先が軽く垂れ下がっている。悠斗の髪はさらさらと風になびき、夏の爽やかな風を感じさせる。浴衣の袖は少し短く、腕が自由に動くようになっている。
一方で、浩介は深みのある紺色の浴衣を身にまとい、シンプルかつ落ち着いた雰囲気を醸し出している。浴衣の生地はしっとりとしており、その光沢が浩介のクールな余裕を感じさせる。
帯はシンプルながらも細やかな模様入りで、結び目がしっかりと締まっている。浩介の髪は整えらており、浴衣に合わせてスマートにまとめられている。袖は程よい長さで、手首が見え隠れするような微妙なバランスを保っている。
「シンくんたちそろそろ行くよ」
どうやら美咲とことりは写真を撮り終えたらしい。
「「はーい」」
俺たちは美咲たちの方へ寄り、一緒に屋台の方へと進み始めた。
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