この日常(ラブコメ)は陰キャオタクにはキツ過ぎる!?
夜空 叶ト
とりあえず、俺は二次元に行きたい。
第1話 やっぱり二次元に行きたいよね。
オタクはモテない。
世間一般でよく言われていることだ。
陰キャはモテない。
これもまた世間一般で言われていることである。
だが、俺はこの常識が間違っていると思う。
だって、
だって、
これが正しいなら、今の俺の状況は何だっていうんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
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俺は星乃 蒼(ほしの そう)二次元をこよなく愛するごく普通のオタクである。
なんなら、友達は少ない悲しい人間ある。
そんな俺の楽しみは推しの配信を見ることだ。
学校に行っても休み時間はいつも配信のアーカイブを見ている。
すっごくいい。
やっぱり二次元は素晴らしい。
ああ。俺も二次元に行けないかなぁ~などと常に考えているくらいにはオタクである。
今は四月
ついに俺も高校生二年
つい先ほどまでなっていた不愉快なアラームを止めてベットから起き上がり始業式の準備をしている真っ最中だ。
「顔洗うか。」
洗面所に移動して顔に洗顔料を塗りたくり流す。
美容には余り気を使っていないため蒼が使う洗顔料はスーパーなどで安売りしているものがほとんどである。
次は歯ブラシに歯磨き粉を塗り念入りに歯を磨いていく。
ふと鏡が目に入り今の自分の姿を映し出していた。
お世辞にも整っているとは言えない容姿
少しぼさぼさで寝癖がある黒髪
眠たげな青い瞳
「そう簡単には人って変わらないな。」
鏡から視線を外して口をゆすぐ。
洗面台を後にしてまだ少し真新しいの制服に袖を通す。
高校に入学してから早一年
特に珍しいイベントなどもなく気づけば一年が終了していた。
今日から二年生のはずなのに蒼にはそんな実感がまるでない。
だが、一年も親元を離れれば独り暮らしにもある程度は慣れてきたため寝坊して遅刻するなんてことは無くなった。
「そろそろ行くか。」
玄関の扉に手をかけてあける。
扉をあけた瞬間少し暖かい春の風を感じた。
「そうか。あれからもう一年たったのか。」
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「一人暮らしがしたい!」
中学三年の冬両親に言った。
{お前が神無月高校に入学できたら独り暮らしでもなんでもしてもいいぞ。}
余裕綽々にそういって見せた両親を見返すべく俺は必死に勉強をした。
神無月高校は国内でもトップクラスの公立高校で今まで世界で活躍している日本人のほとんどはこの高校を卒業している。
そんな超名門高校に合格できたら独り暮らしを認めてくれるそうだ。
それからはずっと勉強をして何とか合格したわけだが、
そのことを両親に言ったところ{なんのことだったか?}と言ったときには
本当に殺意が湧いた。
結局しっかりと一人暮らしをする部屋を借りてもらったわけだが、
結構家賃が高い部屋を借りてくれたため何不自由なく生活ができている。
俺の家から学校までは徒歩で20分程であり世の高校生や社会人が悩まされるであろう満員電車などとは無縁の生活をしている。
ここに関しては両親に感謝しかない。
高校に向かう道にはきれいな桜並木がありここを通ると季節の変化に実感がわいてくる。
「今日から二年生かぁ~なんか年取ったみたいでいやだな。」
俺はそうつぶやきながら学校へとむかった。
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「おはよう蒼。」
「ああ、おはよう海斗」
「お前やっぱ二年になってもさえない顔してんな。」
「うるせぇ。」
朝っぱらから人の容姿を小ばかにしてくるこの男は宮本 海斗(みやもと かいと)
去年同じクラスになってそれなりに話すようになった男だ。
容姿はかなり整っており運動神経は抜群。
短い金髪で目は黒色。
身長は180cmほどあり去年からかなりモテているのだが、
「お前昨日のアニメ見たか?」
「ああ。当たり前だろ。」
「やっぱり俺、二次元に行きたいわ。」
そう。この男も俺と同じくらいのオタクなのだ。
まさに残念イケメン。
一年のころに数回は告白されたがそのすべてを「君三次元だよね?じゃあ、無理」といって断っている。
「それは、俺も思うがなかなか難しいだろ。二次元に行くなんてさ。」
「だよなぁ。ほんと世の中ままならないよな。」
「だな。」
二人は笑いあって学校への道のりを再び歩き始めた。
始業式が終わったら次は大体自己紹介と相場が決まっている。
この自己紹介の場でどんな行いをするかによって今後一年のポジションが決まるといっても過言ではない。
みんなそのことをわかっているらしく、その顔には期待や不安、緊張が混ざっているのがよくわかる。
それはもちろん蒼も例外ではない。
(すごい緊張してきた。目立たないように無難にすませたいなぁ~)
そんなことを考えていると勢いよく教室の扉が開かれた。
入ってきたのはいかにも熱血といった風貌の男性
「おはよう。今日からこのクラスを受け持つことになった一条 零度(いちじょう れいど)だ。これから一年よろしくな。」
(見た目のわりに名前は冷たそうだな。)
「新学期始まって早々だが君たちに報告することがある。転校生がうちのクラスに入ることになった。」
声高らかにそんなことを宣言する。
「早速だが、入ってきてくれ。」
すると、教室の扉が開かれ一人の女性が入ってきた。
長い金髪と美しい青色の瞳をした転校生
日本人とは思えないほどに抜群のスタイルとルックス。
これだけで、この教室にいた男子生徒は歓喜し声高らかに喜んだ。
そんな中蒼だけが興味なさそうにあくびをしていた。
「初めまして。陽炎 月(ようえん るな)といいます。これから宜しくお願いします。」
透き通るような美しい声で自己紹介をする転校生
今までざわついていた教室が一斉に静まり返った。
「じゃあ、陽炎はあそこの空いてる席に座ってくれ。」
(よりによって隣かよ。あんまり関わりたくないんだけどな。)
静寂を破ったのは担任の声であり転校生はいわれるがまま席に向かった。
彼女が席に向かうとき一瞬目が合った気がしたがきっと気のせいだろう。
「じゃあ、みんなが待ちに待っているであろう自己紹介の時間だ。順番は俺がこの箱から引いた番号の人から自己紹介をしていってくれ。」
箱を取り出しながら担任が言う。
(くじ引きかよ。俺運悪いからきらいなんだよなぁ)
嫌な予感がしつつも担任がくじを引くのを見守った結果、
「じゃあ、トップバッターは星乃からで。」
(やっぱりこうなるのか。)
去年もくじで決めたら一番最初だった蒼はもうどうでもいいやと投げやりになりながら教壇に上がった。
「初めまして。名前は星乃 蒼で好きなことはアニメを見たりすることです。一年間よろしくお願いします。」
教室からはやや控えめな拍手が巻き上がった。
(みんな苦笑いしてるし、だから嫌なんだよ自己紹介。誰も幸せになんないじゃん。)
蒼はため息を吐きながら自分の席に戻っていった。
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「お前のクラス転校生が来たんだって?」
「ああ。なんかハーフらしいな。」
「らしいなって、同じクラスだろ?お前。」
「そうだけどさ。正直あんまり興味ないし。」
「まあ、だろうな。」
「でも、うらやましいな。」
「ん?海斗が三次元のことに関してうらやましいとか言うのって珍しいな。」
「あ?だって転校生とかアニメとかでよくあるシチュエーションだろ?」
「なるほど。」
(やっぱこいつ残念イケメンだわ)
「じゃあ、俺はこっちだから。またな蒼。」
「ああ。またな海斗。」
海斗と別れて数分歩いていたら突然後ろから声をかけられる。
「星乃君ちょっといい?」
振り返るとそこには転校生 陽炎月がいた。
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