第98話 あんがいあっさりいったな~

「ちょっといいか?」


 翌日学校終わりに俺は脚本を書いた男子生徒を呼び出していた。

 ちなみに月には先に帰ってもらっている。

 あんまり見られたくないことだからな。


「星乃君?どうかしたの?」


「いや、ちょっと聞きたいことがあってさ。ここじゃ何だから場所変えようぜ。」


 できるだけ親しみやすい表情と声音で男子生徒に言う。

 昔は見下されてたから真面目に俺の言うことを聞く人間はいなかったが最近はかなり真面目に聞いてくれるようになった。

 こういう所はイメチェンしてよかったと思う。


「うんわかった。」


 男子生徒はすぐについてくる。

 俺は彼を誘導して学校の屋上に連れて行った。


「話ってなに?」


「ああ、脚本について聞きたいことがあってさ。」


「き、脚本?何か変なところあったかな?」


 確実に黒だな。


「お前、神楽たちに指示されて脚本かいただろ。」


 さっきまでの親しみやすい表情と声音を引っ込めてどすの利いた声を出す。

 正直こいつに非はあまりないと思っているが加担したのは事実である以上少し苛立ちがあったのだ。


「え、あ、」


 おどおどしながら顔を青くして周囲を見渡すが助けなんて来やしない。

 そもそもここは立ち入り禁止の屋上。

 ここに来るのは海斗か俺くらいだ。


「別に怒ってるわけじゃない。ただ、少し脚本を変えてほしいだけなんだ。」


 別に今回の脚本がダメということはない。

 むしろ高校生が書いたものにしてはかなり出来のいい作品だと思う。

 だが、最後のキスだけは問題だし何よりも月を陥れようとした脚本自体が気に食わない。


「えっと、それ変えて怒られたりしないかな?」


「大丈夫。今回の脚本は君に一任されてるし少し修正しても文句は言われないと思うし言われたら俺が何とかするから安心しろ。」


「わかった。どういう所を変えればいいのかな?」


「いや、あっさり変えてくれるんだな。もう少しごねられると思ってたんだが。」


 まさか、こんなにあっさり行くとは思わなかった。


「いやだってこの脚本神楽さんたちに言われて書かされたものだから僕自身もあんまり気にいってないんだよね。だから変えていいならそれはそれでありがたいかな。」


「なるほど。まあ、俺としてはキスする最後の展開さえどうにかしてくれればいいよ。あとは君の好きにしてくれていい。言わせてもらうなら神楽たちに少し痛い目にあってほしいと思うくらいかな?」


 正直な話結構神楽たちにはイライラしている。

 一対一でやりあうならまだしもクラスを巻き込んで陥れるなんて行為は許せない。


「わかった。僕の好きなように書いてみるね。完成できたら一回星乃君に見せるね!」


 彼はそういうと屋上から走り去った。

 なんだか、結構いい人だったな。

 これで脚本はどうにかなるだろう。

 後は、クラスからどんな反感が出るかと、それをどう鎮圧するかが問題だけどまあ何とかなるでしょう。


「そろそろ平穏な日常を送りたいな~」


 一人の屋上でぼやきながら晴天の空を眺めた。

 まあ、実力行使するようなことが起こらなくてよかった。

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