第20話 ほんの少しの変化かな?
「結局星乃君の相談はあれだけでよかったの?」
月が作った晩御飯を食べ終わりくつろぎながら月が蒼に聞いた。
「ん?いや、本題は他にあるな。」
蒼は食器を洗いながらそう答えた。
「え?なら話してよ。全然時間はあるし。」
「いや、なんかそこまでしてもらうのはなんだか申し訳なくてな。」
「いいよ~私が好きでやってることだからさ。」
月はソファーでくつろぎながらそういう。
「じゃあ、洗い終わったら聞いてもらおうかな。」
蒼は先ほどよりも顔色が良くどこか腫物が落ちたような顔をしていたように感じる。
「うん!」
そんな様子の蒼を見て満面の笑みを向ける月であった。
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「じゃあ、相談ってのを聞こうか!」
蒼が食器を洗い終わると目をキラキラさせた月が待っていた。
「かなり食い気味なんだな。」
蒼はそう言いながら苦笑いをしている。
どうやらこのように接されるのもまんざらでもないようだ
「そりゃね。星乃君が私を頼るなんてほとんどないんだからこういう時にしっかりとポイントを稼がないと!」
「ポイントてお前なぁ。」
頭を抱えながらため息を出す蒼。
「まあいいじゃん。それで本題に入ろうよ。」
「そうだな。じゃあ、相談なんだけどお前だったら自分が陥れた相手に普通に話しかけられるか?」
少し思い返すような顔をした後に蒼は月にそう聞いていた。
「それって、今日あったこと?」
「まあそうだな。俺は昔はあいつのことが好きだったはずなのに、俺がはめられてることが分かってからも嫌悪感とかは感じなかったんだ。でも、今日あったときに何の負い目とかもなく平然と話しかけてくるあいつを見て初めて俺は嫌悪感を感じた。
いや、自分とは違う人間なんだと心底思ったんだ。だからこそ、あいつの行動が普通だったのか気になるんだ。俺の感性がおかしかったのかそれともあいつがおかしかったのかどう思う?」
蒼は真剣に今までのことと今日感じたことを月に語った。
「私の感じ方だとおかしいのは奏さんじゃないかな?だって星乃君と付き合っていた期間ずっと彼女は星乃君に嘘をついてきたわけでしょ?で、結局星乃君を騙して最終的には違う男と付き合ってたのに何の負い目も感じていないってことは罪の意識が奏さんに全くないんじゃないかな?私だったらさすがにあったら気まずいし平然とは話せないよ。」
月も真剣に自分の意見を語った。
「そうなのかな?」
「うん。少なくとも私はそう思うよ。」
「そっか。」
「そうだよ。」
「なんかありがとな。」
「どう?私に惚れちゃった?」
ニコニコしながら蒼の顔を覗き込む月。
「お前、そういう所だぞ?」
蒼は呆れたようにそういった。
「え?どういう事?惚れたってこと?」
驚きながらもまだそんなことを言う月に呆れを通り越して笑いがこみあげてくる蒼であった。
「いや、それはないな。」
笑いながら蒼はそう答えた。
(付き合うことは無いだろうけど一人でいるよりは面白いかな?)
蒼はそう考えることにした。
「ええ~なんでよ~」
「とりあえず、ありがとな。お前のおかげでなんだか救われたよ。」
「それならよかった。これからもなんかあったら私のことを頼ってね。」
そういって月は蒼に微笑みかけた。
「ああ。そうさせてもらうよ。」
蒼も素直にそう答えた。
「じゃあ、私はそろそろ帰ろうかな。」
「ああ。晩飯作ってくれてありがとうな。」
「いいえ。今後も仲良くしてね~」
そういって月は帰っていった。
「ほんと、あいつはなんかつかみどころがない奴だよな。」
蒼は部屋で一人そうつぶやくのだった。
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