第13話 修羅場って怖いよね?
あれから少し時間が経ち三人はフードコートに移動していた。
「それで、なんで星乃君はこの女の人といたの?」
三人で座ると月は身を乗り出して蒼を問い詰める。
「いや、さっき偶然会っただけだって。」
蒼ははっきりとそういうが月は信じようとはしない。
「大丈夫そう?蒼。」
そんな様子の蒼を少し心配する美波。
「蒼?」
(美波。お前やったわ。)
そう思ったときにはもうすでに遅く蒼の気のせいかもしれないが周囲の気温が5度ほど下がったように感じた。
「星乃君?説明してもらおうか?」
とてもニコニコしているが残念なことに目が全然笑っていない。
「ちょっとトイレに、」
蒼はそういって立ち上がろうとした。
しかし、
「行かせるわけないじゃん。あはははは~。」
正面から胸倉をつかまれて座らされる。
(力つよ!)
月のあまりの力の強さに驚く蒼。
そんな光景をはたから見守る美波。
顔にうっすらと青筋を浮かべている月。
まさに修羅場であった。
「早く説明して。なんで私が試着室に入っているうちに違う女と楽しそうに話してたのか、それと蒼って名前で呼ばれてたし。どんな関係かも詳しくね?」
そういった月は昨日の数倍恐ろしく見えた。
(なんでだろう?別に浮気したとかそんなわけじゃないのになんでこんなに怒られるんだろう?)
蒼はそんなことを考えていたが決して口には出さない。
言ってしまったらさらに面倒なことになるのは目に見えているからだ。
それから蒼はさっき本当に偶然美波とあったことや美波が幼馴染であることを説明した。
ちなみに、その間美波は助け船を出すどころか食べ物を注文しに行っていた。
(美波め。あとで絶対にシバく!)
ある程度説明を終えた蒼は少し息をついた。
「なるほど。あの人がこの前の電話の人だったんだ。」
「そうだな。これで納得してもらえたか?」
「まあ。でもせっかくなら美波さんとも話してみたいし。」
「それはあいつが戻ってきたら好きにしてくれ。」
蒼はやれやれといったように首を振った。
……………………………………………………………………………………………………
それから少しして美波が戻ってきた。
「ただいま~。お話は終わった?」
「まあな。あとお前何しれっと逃げてんだよ。」
「だって、あんな修羅場に巻き込まれたくないんだもん。」
てへっといった様子で笑う美波。
「あの~あなたが美波さんでいいですか?」
少し控えめな様子で月が美波に問い掛ける。
「はい。蒼の幼馴染の雲海 美波です!よろしくね!」
美波は元気に挨拶していた。
昔から美波は明るく元気な子だったので蒼は少し安心したように頬を綻ばせていた。
「あ、星乃君の彼女の陽炎 月です。初めまして。」
「おい。嘘をつくな。誰が俺の彼女だって?」
「蒼やっぱり付き合ってたの?」
美波はにやにやしながら蒼ににじり寄ってくる。
「だから、そんなわけないだろ。俺はあれ以降彼女なんてくだらないものを作る気なんてさらさらないんだよ。」
少し自嘲めいた笑みをする蒼。
「あれって何ですか?」
「何でもないよ。」
美波はすぐにそういった。
「そんなことよりも月ちゃんは蒼の彼女じゃないなら何なのかな?」
美波はそういってにやにやしながら月ににじり寄っていた。
(そういえば美波って昔からコイバナとかが好きだったな。)
蒼はふとそんなことを思い出していたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます