第68話 向き合う一歩
月に手を引かれるまま歩いていると見知った駅前までたどり着いた。
「やっほ~美波さん。」
「あ!やっときた~ちょっと遅刻だよ。」
「ごめんなさい。蒼君が起きるのが遅くって。」
「え?俺のせいなの?」
いきなり朝起こされて連れてこられたのにこの言いぐさはひどくないかとも思ったがきっと言っても無駄なので言わないでおくことにする。
「まあ、蒼は朝弱いからね。しょうがないよ。」
「いやいや、ゆうほど弱くはないだろ?」
「え?もしかして自覚なかったの?」
「え、」
もしかしたら俺は自分が思っているよりも朝に弱いのかもしれない。
なんてこった。
「まあ、そんなことはいいから早く行こう。」
「でね。行こうよ蒼君。」
「ああ、今行くよ。」
俺たちはこの後電車に乗ってある場所まできていた。
「ここって、」
「そう!懐かしいでしょ?私たちがよく遊んだ公園だよ!」
かなり長い間電車に乗っていたと思ったがまさかここにきているなんて思いもしなかった。
「へぇ、ここが蒼君が昔よく遊んでた場所なんだ。」
「そんなに珍しいものでもないだろうに。」
月が漏らしたそんな言葉にそう返しながら公園を見渡す。
昔からこれといって変わったところはないな。
でも、昔よりも小さく見えるのは俺が成長した証なんだろうな。
「でも、二人は何でこんなところに連れてきたんだよ。」
「だって、蒼がこの前言ってたじゃんか。過去と向き合いたいって。」
「だからって月も連れてくるか?」
確かに美波が退院した後そう言いはしたがまさかこんなに早く来ることになるとは思ってもいなかった。
「いや、その話をしたら月ちゃんが一緒に行きたいって言ってたから。ま、別にいいでしょ?」
「いいけど、こういうのはあらかじめに言ってくれよ。」
「だって、言ったら蒼は行こうとしなくなるじゃんか。」
美波は笑いながらそういったが確かにいかなくなるかもしれない。
というか、行けなくなるといったほうが正しいかな。
「何の話?」
「いや、蒼がヘタレって話だよ。」
「誰がヘタレじゃ。」
「まあ、蒼君は少しヘタレかもね?」
なんてことを言うんだよ。まあ、確かにそうかもしれないけどさ。
「で、どうする?ここは特にこれといってやることは無いけど?」
過去と向き合うとはいっても俺にとっての一番のトラウマは奏と勝だ。
あの二人のおかげで俺は人間不信になったといっても過言ではない。
だから、俺が真に向き合うべきは場所ではなく人物なんだ。
「確かにここは何にもないからねぇ~。どう?蒼なんか思う所はある?」
「いや、とくには無いな。懐かしさを感じるくらいだな。」
「蒼君って向き合いたいと思ってたんだ。」
「さすがにいつまでも引きずってはいられないしな。」
それに、俺は過去としっかり向き合って月に告白したい。
「いいことだよ!応援してるね。」
「ありがとう。」
そのあとは三人で散歩をしたり、美波が作ってくれた弁当を食べたりして公園で時間をつぶした。
久しぶりに行った公園はなんだか懐かしかった。
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