第67話 さあ、夏休みの始まりだ。

 朝。一人でスマホと向き合っていた。

 朝、通知がうるさいと思い目が覚めてすぐにスマホを見るとそこには大量の通知が来ていた。

 美波かとも思ったがそうではなかった。


「なんだ。母さんからか。」


 スマホには近頃俺の住むアパートに遊びに行く旨が書かれていた。

 いきなりだな。去年はそんなことなかったのに。


「って、いつ来るか書かれてないじゃん。」


 俺はスマホの画面を見つめながらため息をついた。

 いや、確かに報連相は大事だけども一番大事なところが抜けてるんだよなあ。

 ため息をついてスマホをベッドの上に放り投げて立ち上がる。


「今日は夏休み初日。なんて開放的な気分なんだろう。」


 朝起きてから学校に行かなくてもいい。そう考えるだけで心が軽くなる。

 顔を洗って朝ごはんを食べて歯磨きをする。

 いつもしている動作ですらなんだか幸福を感じるのだから休みってのは素晴らしい。


「赤点組の勉強会の日程も考えないとな。」


 暇とはいってもバイトは入ってるし、どうやら母さんが家にも来るらしいしある程度予定は決めておきたい。


「まあ、もう少し後でいいか。」


 コーヒーを啜りながら朝のニュースを見る。


(ああ、なんていい朝なんだろうか。)


 今の時間は午前八時

 休日に早起きするのは本当に気分がいい。

 でも、こんな何気ない休日に月がいてくれたらなと思う。

 こう考えるようになった俺は昔に比べて変わったんだと思う。


 そんな時にインターホンが鳴る。


「はいは~い。」


 画面を見ると髪をポニーテールにした金髪の美少女がいた。


「あ、蒼君。起きてたんだ入ってもいい?」


「もちろん。というか合鍵渡してなかったっけ?」


「あ~いや、なんか申し訳ないなって?」


「なんで疑問形なんだよ。」


「いいじゃん。お邪魔します。」


 玄関を開けて月を招き入れる。


「で、どうしたんだ?こんな朝早くに。」


「いや、なんか蒼君の顔見たくなって。」


 少し頬を赤らめながら月はにっこり微笑んだ。


「なんか照れないか?それ。」


「そう言われると照れるから言わないで。」


「すまん。」


「いいよ別に謝らなくても。」


 とりあえず俺たちはソファーに座る。

 近くに座ると月から女の子特有の甘い匂いが漂ってきた。


(どきどきする。心臓が痛い。)


「蒼君は今日何か予定とかあった?」


「いや、今日は一日中暇だな。何かするか?」


「そうなの?よかった~今日美波さんと遊びに行くんだけど蒼君も来ない?もちろん美波さんの許可は取ってるからさ。」


「それはぜひ行きたいな。」


 美波とはお見舞い以外会ってなかったし、月と遊びに行けるなら行かないという選択肢は俺にはなかった。


「やった!じゃあ、今から行くよ。早く着替えて!」


「おっけ。ちょっと待っててくれ。」


 すぐに立ち上がって俺は自分の部屋に入って着替える。

 まあ、結構何を着ていくのかは迷ったのだがそれはまた別の話だ。


「準備できた。」


「了解じゃあ、行こうか蒼君。」


「あ、ああ。」


 月はそういうと俺の手を掴んで前を歩いていた。


(柔らかいな。)


 俺は月の手を握ってそんなことを考えていた。

 なんか、申し訳ない。


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