第66話 赤点二人組
一学期が終わりようやく今日は終業式。
全世界の学生が待ち望む瞬間だと俺は思っている。
「やっと今日で終わりだなぁ~蒼。」
「だな。テストも赤点はなかったしこれでようやくゆっくり休めるよ。」
「何が赤点はなかったし。だよ。ふざけやがって。お前そんなこと言いながら全科目90点代取ってただろ。俺なんか赤点が三科目もあったんだぞ?どうしてくれんだよ!」
「いや、知らねえよ。お前がしっかり勉強しないからだろ?頑張って補修行けよな。」
海斗は地頭はいいのに努力をしない。
きっとやればできるんだろうがやらないからできないんだろうな。
本当、いろいろ残念なイケメンだよ全く。
「そんな!助けてくれよぉ~このままじゃ俺卒業できないよ~。」
「抱き着いてくるんじゃない。離れろ!」
海斗が俺にしがみついてきたので必死にこいつを引きはがそうとする。
が、なかなか離れない。
「いやだ~~~。頼むから助けてくれよ~」
「わかった。わかったからいい加減に離れろ暑苦しい。」
もう七月に突入しているためかなり暑い。
「いいのか!」
「ああ。さすがにお前が留年するのは見たくないからな。」
「おお~心の友よ~。」
「だから、抱き着くな!」
そんなやり取りをしていると予鈴が聞こえてきた。
「もうこんな時間か。」
「教室もどろうぜ。最終日に遅刻なんて笑えないしな。」
「だな。」
俺達は笑いあいながら屋上を後にし教室に戻った。
「あおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「なんだいきなり!?」
教室に戻るとすぐに神楽が俺に体当たりしてきた。
「私に勉強教えて!」
「お前もかよ。」
なんだ、こいつも赤点か?
ていうか、なんかデジャブ。
「私も?他にも誰かいたの?」
「ああ。海斗にも同じ頼みをされたよ。まあ、一人も二人も変わらないからいいけどさ。」
「本当?やった~」
花が咲いたかと思うようなぱぁとした笑みを浮かべていた。
「日程はいつがいい?基本的に暇だけどバイトとかもあるからあらかじめ予定を教えといてくれ。」
「わかった。じゃあ、連絡先教えて?」
「ああ。いいぞ。」
この前月と交換したばかりなので今回はスムーズに交換することができた。
「じゃあ、今度連絡するね。」
「わかった。海斗にも予定を聞いとくな。」
「うん。」
神楽はじゃあね~といって自分の席にもどって行った。
「蒼君!」
「なんだ?まさかお前も赤点なのか?」
「何の話?」
「いや、違うならいいんだ。」
さすがに三人に教えるのはちょっときつい。
まあ、労力は変わらないんだけどなんて言うか精神的にしんどいんだよね。
「蒼君夏休み何するの?」
「適当に遊んだりバイトしたりだな。ああ、お盆には実家に帰るかもしれんが。」
「それって大丈夫なの?」
「まあ多分な。」
月はきっと奏とのことを言ってるんだろうな。
まあ、この前はあっただけであのざまだもんな。
「そっか。」
「心配してくれてありがとな。」
「いやいや、別にお礼を言われることじゃないよ。それより、蒼君夏休みに勉強会するの?」
「まあな。赤点組に勉強を教えることになったが、どうかしたか?」
「それって私も参加していい?」
「月は赤点なかったんじゃないのか?」
「それはそうだけど、」
月はもじもじしながら目を伏せている。
よく見てみれば顔が少し赤い。
「まあ、いいよ。教えてくれる側が増えると俺も助かるしお願いできるか?」
「うん!」
にこっと大変可愛らしい笑顔を月は浮かべていた。
(めっちゃ可愛い。)
率直にそんな感想が出てきた。
口に出ていなくてよかった。
あぶないあぶない。
俺と月がそんな会話をしていると教室の扉が開いて教師が入ってくる。
そうしてすぐに終業式が始まった。
長ったらしい校長の話やもう何回も聞いた夏休みの過ごし方などを聞いて終業式は終了した。
これは俺の持論だが、教員の長話程つまらないものはこの世にないと思う。
いや、マジで。
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