第77話 私の不幸
目が覚めると全く知らない場所にいた。
そこは、薄暗くて少しかび臭い閉塞感を感じるような場所だった。
「え、」
こんな場所から逃げ出そうとするけど体が動かない。
縄で手足を縛られてる?
「ようやく目が覚めたか?」
私が体を捻ったりして拘束から逃れようともがいていると頭上から声が聞こえてきた。
その声はどこかで聞いたことがあるような気がするし、ないような気もする声だった。
「だれ?」
恐怖で声が上ずってしまう。
仕方ないことだろう。
いきなりこんな状況になって落ち着いていられる女子高生なんていないはずだ。
もしいたなら、それは女子高生ではなく何かの化け物だと思う。
「おいおい。ひでぇなぁ~一回告白した仲だろ?」
暗闇で顔を見ることはできなかったが、その声から笑っていることがうかがえた。
怖い。
ただひたすらに怖い。
こんな経験あの時以来したことがなかった。
あの時は彼が助けてくれたけど今回も助けてもらえるほどこの世の中は甘くない。
きっと、これから私はひどい目にあわされるんだろう。
もしかしたら殺されるかもしれない。
そんなの嫌だ。
まだ彼と付き合ってないし、あの時のお礼も言えてない。
このまま死んだら未練しか残らない。
そう考えはするけど、今の状況を打破する手段なんてない。
この男は今告白した仲といっていた。
でも、そんなの私には心当たりがない。
それに仮に告白をされていたとしても、私は断わっているはず。
「覚えてない、です。」
「はは、だろうな。あんときゃ見向きもされてなかったからな。」
心底面白そうに目の前の男は笑い始める。
この男頭がおかしいんじゃないか?
「まあ、俺はそういう女を屈服させるのが好きなんだよな。」
男がそういうとあたりが明るくなる。
どうやら、照明がついたらしい。
明るくなったから男の姿がようやく視界に映った。
その男は何やら怪しげな注射器を片手ににやにやと笑っていた。
「ひっ、」
周りにはほかに数人ほどの男が立っていた。
これは積みだ。
今から私はどうなるんだろう。
そんなことはわかりきっている。
でも、それを認めるのが怖い。
認めなくても時間の問題だ。
怖い怖い怖い。
何で私がこんな目に合わないといけないのだろう。
私が一体何をしたっていうんだろう。
私はただ、大好きな人と一緒にいたいだけなのに。
ただ、彼と一緒に笑いあっていたかっただけなのに。
そんな些細な幸せすらつかめないのだろうか。
「とりあえず、”これ”を注射してからのお楽しみだな。」
そういって男が注射器を私の腕に近づけてくる。
この中身が何なのかはわからないけど、ろくなものではないだろう。
「やだ、やだ。」
全力で体を捻って逃げ出そうとするけど動かない。
「ふひひ、」
男の笑い声が聞こえた。
もう終わりだ。
そんなことを思ったときいきなり悲鳴が聞こえた。
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