第49話 一番近しい大切な人

「はい。わかりました。」


 あの後俺は美波の両親に連絡をして美波の現状や入院することを伝えて電話を切った。

 医者にも治療法がないといわれているため静かなところで静養するしかないようだ。

 とりあえず、生活必需品の準備をするか。


(ん?待てよ。さすがに俺が美波の家にある下着とかを勝手に持ってくるのは問題では?)


 完全に忘れていた。

 絶対によろしくない。

 いくら幼馴染といっても超えちゃいけないラインは存在する。


「しょうがない。月に来てもらうか。」


 少し気は重いが月に連絡を取りこっちに来てもらうことにした。

 本当今日が休日でよかった。


 ……………………………………………………………………


「わざわざ休日に悪いな。」


「気にしないで。それに星乃君が女の子の下着を勝手に触るのはちょっとね。」


「だよな。」


 やっぱそうだよね。

 普通に考えてそうだよね。


「まあ、休日に呼び出したんだから何かしらの埋め合わせは期待してもいいよね?」


 月は微笑みながらウインクをした。

 まあ、確かに休日に呼びつけてるわけだし埋め合わせは必要か。


「まあ、俺にできる程度のことであればな。」


「やった~約束だからね?」


「わかったよ。」


 飛び跳ねながら喜ぶ月に少し見とれてしまう。


「どしたの?」


 そんな俺の様子を不審に思ったのか月は俺の顔を覗き込んでくる。


「いや、何でもない。」


 そっけなくそう返すのが精いっぱいだった。

 こんな美少女に至近距離で見つめられれば誰だってドキドキするだろう。


「そう?まあいいや。とりあえず美波さんの家にあった衣服は持ってきたよ。」


「ありがとう。じゃあ、病院行くか。」


「うん。」


 俺達は美波の家を出てタクシーを拾って美波が現在入院している病院に向かった。

 タクシーに乗っている間に月から学校であった出来事などを聞いたがあまりこれといった出来事はなかったようだ。

 相変わらず月が男子に告白をされているくらい。


「また俺へのヘイトが、、、」


「あきらめよ~」


 他人事のように月は言ったがこいつのせいなんだよな~


 そんな会話をしているうちにタクシーは美波が入院している病院にたどり着いた。

 運転手さんに運賃を支払い二人してタクシーから降りる。


 病院に入って受付に自分と月の名前を言って美波の病室に通してもらった。

 ちなみに生活用品や衣服などはこの時に受付の人に預けている。


 扉の前でノックをして病室に入る。

 そこは一人部屋でまあまあ広い病室だった。


「失礼します。」


「失礼します。」


 だが、美波は寝ている様で規則的な寝息を立てていた。


「どうやら寝ているようだな。」


「みたいだね。」


 少しホッとした。

 最近美波がしっかり寝れていないようだったからぐっすりしている様でよかった。

 きっと薬が効いているんだろうな。


「ねえ星乃君。」


「なんだ?」


「星乃君って美波ちゃんのことを好きにはならなかったの?」


「いきなりどうした?」


 ほんとういきなりどうしたんだ?こいつ。


「いや、こんなに可愛くて星乃君に優しい女の子だから好きにならないのかなって思ったの。」


「考えたこともなかったな。でも、ならなかったな。多分ずっと一緒にいすぎてそういう対象として見れなかったんだろうな。」


 確かに美波は女性としてとても魅力的だと思う。

 容姿は整っているし性格もいい。

 言いにくいが、スタイルも抜群だ。

 月に負けないくらい女性として魅力的だとは思うがなぜか俺は彼女をそういう恋愛対象としては見たことがなかった。

 きっと、ずっと一緒にいすぎて最早兄妹のような感覚なのかもしれない。


「そんなもんなの?」


「そんなもんだよ。でも、美波は俺にとって大切な人だよ。何回も俺のことを助けてくれて、相談にも乗ってくれて俺は美波に何回も救われたよ。」


「でも、好きにならなかったんだ?」


「まあな。」


「ふ~ん。」


 なんだか妙な視線を向けられるが理由はわからん。

 変なことは言ってないと思うんだけどな。


「まあいいや。それより美波さん大丈夫なのかな?」


「わからん。ここまで来たら俺にできることは無い。まあ、週三日くらいは見舞いに来ようと思うがな。」


 昔、俺がしんどい時美波はずっと俺に寄り添ってくれたんだから今回は俺の番だろう。


「私も一緒に行ってもいい?」


「もちろん。きっとそのほうが美波も喜ぶよ。」


 昔からにぎやかなほうが好きだったしな。


「とりあえず今日はこの辺で帰るか。起きそうにないし、しばらくは安静にしたほうがいいだろうからな。」


「そうだね。じゃあ帰ろうか。」


 俺達は二人して椅子から立ち上がると美波の病室を後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る