なゆた、ふかしぎ

肯界隈

第1話『地球人には理解できぬ、地球にまつわるブンガク全集』より

「スイカは嫌いだね」と羊飼いaは言いながら、黄色いスイカの実に指を突っ込み、種をほじくり出した。

 身はぐちゃぐちゃのバラバラ。

「急にどうしたの?」と娼婦。

「種ばかりで食べづらいし、繁殖的観点からしても、この『数打ちゃ当たる』的な無節操な精神が気に喰わないんだ。種子というのは、真ん中に一つ、ごろりとあって然るべきだね(うげ、また種を飲んでしまった)」

「じゃあ、バナナの種はどこにあるの?」娼婦は尋ね、わざと種を飲み込んだ。

 二人のお腹には、種がいっぱい。

 次はパンでも食べようかしら。

 かつて種だった、白くてふわふわのパン。


『地球人には理解できぬ、地球にまつわるブンガク全集』より


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