第19話 今日も苦手な眠りの前の時間
寮の部屋は個室を与えられていますが、ベッドしかないので、気を紛らわすこともできません。
眠るのは苦手です。
つい、考え事ばかりしてしまうのです。
黄色いものを握りしめます。
これは依存です。
わかってはいるのです。
でも、握ります。
自分自身が宇宙人ではないと気付き始めると、今までよくわからないモヤモヤでしかなかった退屈や、疎外感……なにより、世界への違和を、クリアに感じてしまいます。
それまでは、あたしは宇宙人なのだから、地球人と別の考え方をして当然だと考えていましたから。
違和とはつまり、当たり前が共有できないということです。
あたしのように、小説を作り話にしか思えなかったり、「死んだ人間など偉くないのではないか」などと思ってしまうようでは、違和を覚えるのは仕方がないのです。
もちろん、自分に言い聞かせ、周囲に合わせている人もいるでしょう。
ですが、どうしてもあたしの本音をすり替えることができません。
それまで、なにをしていても、あたしはあたしでしかないと、今までは信じていたのです。
獣のようにあたしに乗りかかり、殴打し続けた女の子にも、かわいい、ひよこのキーホルダーをつけるという一面があるのですから。
自分を――心を一つしか持っていない人など、誰もいないのだと気付きました。
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