第13話 愛なんてきちんと理解しないで、丸覚えでよろし

 パパの小説にはそれが書かれているようにも見えますが、なにか、足りないのです。

 あたしは何度も、「それはなんですか?」と尋ねました。

 パパは一度だけ、嫌々説明してくれました。(たしか、嫌っていたはずのパソコンを使い、嬉々として女の子を口説いていたのです)

 パパはまず、「愛」については、

「愛とは、スキな人のたまごを産みたくなるという気持ちだ(もちろん、男だって産みたくなるのだよ)」と説明しました。

 そして、「セックス」についても、

「セックスも、愛する人のたまごを産みたくなるという気持ちだ」と説明しました。

 あたしはもちろん納得はしませんでしたが、それ以上突っ込んで訊こうとするとパパは、

「これは地球の感覚なんだ。きちんと理解しないで、丸覚えでよろしい」と、見たことがない怖い顔をしました。

 なので、どうにか自分自身で読みとろうと努力しました。

 ですが、どちらもつきつめれば、あくまで電気信号にすぎないのです。

 そこまで大切なのかどうかはわかりませんでした。

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