第19話
ロニアとマキナを前にするロベルタの判断は実に速かった。
「……」
ロベルタは一瞬の判断の後に逃亡を選択。
二人の動きを妨害するべく大量の魔法をばら撒きながらロベルタは全力でその場から離脱する。
「『暗き闇夜は僕の世界』」
一秒足らずで50km以上を駆け抜け、自分のいた森から抜ける……そのようなタイミングでロベルタの耳にロニアの声が響いてくる。
「……ッ」
「残念賞。既にこの森は僕の支配化……黒の魔導は何もかもを自分の色に染める。空間でさえもね」
「……逃亡は不可避、か」
逃亡が不可能であることを悟ったロベルタは戦闘態勢に移る。
彼の体が黄金に輝く鎧に覆われ、その手には黄金の大剣が握られる。
「レアンドリュー帝国六大将軍が一人『黄金騎士』ロベルタ……いざ、尋常に」
「『燃やし尽くせ』」
しっかりと騎士らしく。
堂々たる態度で名乗りを上げるロベルタに対してロニアは一切の容赦なく魔法を発動。
黒き炎がロベルタを包み込み、その体を覆い尽くす。
「……」
だがしかし、ロニアの黒き炎はロベルタの身を守る黄金の鎧を貫通出来ず、そのままロベルタはロニアへと迫る。
「……」
ロベルタの黄金の大剣とロニアの手にある黒き焔の刀がぶつかりあい、魔力の渦が荒れ狂う。
「せいやッ!」
「……ッ」
ロニアと互角の打ち合いをするロベルタは自身の背後から巨大なハルバードを振り下ろしてくるマキナの手からも何とか逃げおおせる。
「……くっ」
「……」
「ほらほらですわぁー!逃げ惑うのですわー!」
流石は姉弟と言うべきか。
抜群のコンビネーションでロベルタへと迫り、追い込んでいく。
「『我は負けぬ』」
「『いや、お前は負けるね』」
ロベルタの言葉をロニアが否定する……ロベルタの力。
それは彼だけの魔導『黄金』と常識外の自己暗示魔法。
ありとあらゆるものを防ぐ黄金の鎧に自己暗示が実際に可能となるその常識外の魔法の力。
無敵の盾と言ったことを可能とする最高の矛。
それらを持つロベルタはまさに怪物であり、常識外の存在であった。
「……ぐっ」
だがしかし、相手が悪かった。
相手は黄金さえも黒く染める『黒』の魔導の持ち主であり、ロベルタの自己暗示するも揺らがせる強力な精神干渉魔法の使い手でもあるロニアだ。
「これで終わりですわー!!!」
「……しまっ!?」
そして、マキナは破壊の権化。
ロニアの精神干渉魔法を受け、足を止めてしまったロベルタへと振り下ろされたマキナのハルバートは黒く曇り始めていた黄金の鎧ごとロベルタを破壊するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます