第4話

 僕の部屋へと入ってきたお姉さま。


「はい、はい、何?」

 

 そんなお姉さまへと僕は視線を向け、疑問の声を上げる。


「ちょっと話したいことがあるのだけど……ここじゃなんですわ、外に出ないかしら?」


「え?なんでここじゃ駄目なの?」

 

 何故外で話をする必要があるのか。

 僕の自室は防音仕様になっているし、諜報員も来れないような特殊仕様にしている。

 何か会話をするなら僕の家以上のところはないと思うのだが。


「風情ですわ、風情」

 

 そんな僕の訴えはお姉さまの風情と言うだいぶまぁ、ふんわりとした言葉によって棄却される。


「ほら、早く外に行くのですわ!」

 

 そして、そのままお姉さまは半ば強引に僕を自室から連れ出そうとする。


「……はぁー、仕方ないなぁ。うん。外に行くよ」

 

 僕もそれを受けて外へと出るべく今していた作業の手を止め、ゆっくりと席から立ち上がる。


「それで?外と言っても何処に行くの?」


「ここの王宮の屋上で良いですわ」


「……防諜の方は大丈夫?うちの国今他国からの間者がヤバいんだけど。元々何もなかったこの国で防諜に対する意識なんて微塵もなかったし……本当に不味いやつなんだよ?」

 

「そこらへんは問題ないですわ。大した話をするわけじゃないですの」


「それなら良いけどね?」

 

 僕はお姉さまと共に王宮の屋上へと向かう。


「それで?どうしたの?いきなりこんなところで話をしたいなんて言い出して」

 

 かなり寒い風がふぶく最中、僕はお姉さまに向かって疑問の声を上げる。


「いきなり本題に入っちゃうんですの?」


「さっさと入りたいよ?」


「うぅ……私の弟が冷たくなってしまったのですわ!これが反抗期ですの?」


「普通に忙しいんだよ……いくら人が増えようとも僕の忙しさは結局のところ解消されていないからね。仕事には常に追われている」


「……まぁ、そうですわね」


 僕の言葉にお姉さまは頷く。


「それじゃあ、単刀直入に聞きますわ。貴方、ミリオネのこと異性として好きですの?」


「え?好きじゃないけど?」

 

 僕は突然のお姉さまの質問に対してあっさりと答えるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る