第3話

 急速に拡大の一途をたどっているアルタイル王国。


「……なんでこんなことになっているん?」

 

 もはや北方の大国としてのこの世界に君臨し、他国からも目をつけられ、今やレアンドリュー帝国の後釜を狙う次代の覇権国家候補と呼べるほどになってしまった。

 レアンドリュー帝国から奪った土地がうますぎる!

 

 くそぅ……僕の夢のスローライフは何処に行ったというのだ!

 もうちょっと他の国は諦めろよ、ヨーロッパのように覇権国の誕生を防ぐ方向性で努力しようよ。

 なんで全員で覇権国を狙うのよ。


「……なんとかどこぞの三枚舌のように立ち回って覇権国の誕生を防げないかな?いや、でもなぁ。どうしてもローレシア王国は拡大路線に舵を切るしかないし、それに伴って他の国も動くよなぁ」

 

 アルタイル王国との関係もあって現在、ローレシア王国は他の諸外国と比べても頭一つ抜けている。

 ゲームでは主人公という公式チートの存在が出るまで確変最強状態であったが、現在の情勢だとその状態に入る前に他国から袋叩きにあい、ドイツのようになりかねない。

 ローレシア王国が滅ぶのも滅ぶで困るしなぁ。


「どーしよ」

  

 なんか僕の幸せな隠居生活がどんどん遠のいていっている気がしてすごく嫌なんだけど。


「入りますわよ、ロニア」

 

 僕がそんなことを考えている中、お姉さまが僕の部屋へと入ってくるのだった。

 

 

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