第2話
アルタイル王国の第一王女であるミリオネ・アルタイルとローレシア王国の第二王子である僕との間に行われた婚約。
これが全ての始まりであったと言って良いだろう。
「はにゃー」
僕が分厚い雪に閉ざされる銀色の世界に降り立った日からアルタイル王国を起点として世界に対して大きな影響を与えるようになっていた。
レアンドリュー帝国の落日とそれに比例するように飛躍するアルタイル王国。
それらは世界にも強い影響を与え、その影響はアルタイル王国との関係を急速に深めていくローレシア王国にも顕著である。
「ほんわぁー」
そして、そんなレアンドリュー帝国の落日とアルタイル王国の飛躍は今なお猛烈に進んでいる。
レアンドリュー帝国の武闘派であった第三皇子であるアロス・レアンドリューの皇位継承戦からの脱落に落ちていく帝国が誇る武。
領土の割譲すらもアルタイル王国へと見せるレアンドリュー帝国の没落は誰の目にも明らかであり、世界各国もレアンドリュー帝国へと魔の手を伸ばしつつある。
それに反してアルタイル王国は絶好調。
ローレシア王国経由で集まってくる優秀な人材の影響で軍事力、経済力、文化の発展。
ありとあらゆるものが急速に発展し、今やだれも気にせぬ何の輝きも持たぬ銀色の国から光り輝く白銀の国へと生まれ変わりつつある。
「お酒おいしー、お刺身パクー」
元々膨大な量の仕事を抱え、日夜命を削りながら仕事をしていた僕であったが、お姉さまが連れてきた多くの有能な人間がアルタイル王国内で働きだしたこともあって、僕の仕事の量も激減。
「……はにゃー」
僕は暇になってしまっていた。
「ロニア!お姉ちゃんと一緒に遊ぶんですわー」
「ロニア!久しぶりにゲームでもしない?」
「……お刺身パクーッ!!!」
そんな最中。
己が自室へと元気よく入ってきたお姉さまとミリオネの姿を確認した僕は。
半ば現実逃避気味に自分の隣に置いてあったまだ鱗取りさえもしていない魚へとかぶりつくのだった。
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