第12話

 僕というイレギュラーが皇帝陛下に対して何らかの影響を与えたのだろうか?

 アルタイル王国とレアンドリュー帝国間で行われた会談より一ヶ月。


 皇帝陛下が亡くなったという一報が世界中を駆け巡った。

 帝国の根底を揺らす大事件を前にして当然、レアンドリュー帝国はアルタイル王国へと会談でとり決められた契約を果たせないことを通告。


 それに対してアルタイル王国は寛大な心持ちでそれを了承。

 但し、既に金銭及び資源は使われていることからそれらの変換は一切行わないという態度を見せ、レアンドリュー帝国もそれに合意。


 僕とリリア殿の会談は最終的にアルタイル王国が見返りもなしに多額の金銭と資源を得ることとなったのだ。


「想像以上に激しく動いているようだな」


「まぁ、最初ですので……帝国の動乱中に或程度アルタイル王国の土台を固めようかと」


 そのようになった今、僕はアルタイル王国より送られた大使として己の母国であるローレシア王国へと舞い戻っていた。


「まぁ、ここに来た自分が何を求めているかは父上も理解しておいででしょう?」


 そんな僕を出迎え、同じ会談の席に向かい合うものとして坐る己の父へと僕は口を開く。


「うむ。だが、お前の口より聞こう」


「求めしものは三つ。技術、建設、安定した輸送経路」


「軍事は?」


「問題ありません、勝手にやります」


「……お主に強請られ、軍関係の情報を全て開示したのは失敗であったわ」


「僕だけで軍事はなんとかなる……問題はその他の部分。そこをローレシア王国でカバーしてもらいたい」


「いいだろう。我が国の技術団を派遣しよう。何にでも対応できるよう多くのものを送る……それで、だ。我が国の物が少しでも関与した工場などの施設より得られる収益の四分の一を我が国へと支払うこと、それが上下だ」


「いやー、それは嫌かな?」


 僕は父上より出された提案を切り捨てる。


「……む?」


「アルタイル王国をローレシア王国から永続的に搾取されるような国にするつもりはないかな」


「ふっ、そうか」


 僕の言葉を聞いた父上は笑みを漏らした後、口を開く。


「それでは父親からお前への最初の授業だ。内容は実践的な会談。あぁ、特別に言葉遣いはラフで構わんぞ?」


「それはありがたいね」


 僕も父上も、ようやく共に真剣な面持ちで向き合うのだっだ、

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