第17話

 レアンドリュー帝国がアルタイル王国へと侵攻を開始し、レアンドリュー帝国が新しい動きを見せる中。

 ローレシア王国の方へと滞在していた僕はしっかりと外交をやり遂げ、当初と変わらぬ日程を過ごした後にアルタイル王国に向かって一人、帰還の道を進む……はずだった。


「……あの、なんでついてくるの?」

 

 本来は一人で足早に帰国するはずのだったのだが、なぜか僕はお姉さまと共にアルタイル王国へと戻っていた。


「構わないですわ!」


「僕が構うのだけど?」


「私がいた方が動きやすいみたいなところもありますでしょう?」


「……まぁ、それもそうではあるけど……いや、あまり話を大きくするのも」


「そんな消極的なことを言うべきじゃないですわ!レアンドリュー帝国の天下は落ち、新しい時代が間近に迫りつつある。そんな中で台頭するのは私たちですわ!」


「……別に僕は台頭したくないのだけど?」


「そんなのお姉さまが許しませんわー!どちらにせよ、この世界の運命から逃れるなんて無理なんですわ。でしたら元々持っている私たちの権力の強さを生かして出来るだけ早く力を手に入れるんですわ」


「……逃げたいなぁ」

 

 積極的なことを告げるお姉さまに対して消極的なことを口にする僕……ここはお姉さまの訴えを退けたいところではあるのだが……。

 基本的に僕はお姉さまに勝てない。お姉さまの陽気な『ですわー!』ですべてを押し切られてしまうのだ。


「そんなことを言わないんですわ!きびきび動いていくんですわ!アルタイル王国をローレシア王国が飲み込む勢いですわ!」


「いや、それはちょっとないかなぁ」


「なんでですわー!?貴方はローレシア王国を治める王族の一人ですわ!」


「まぁ、それでもあるけど僕は一応アルタイル王国の末端ではあるからね。そう簡単に潰させはしないよ……まぁ、そんなことより作戦会議をしようよ。今回の一件をさっさと解決させるためにね」

 

 僕は話の転換を強引に仕掛け、お姉さまに向かってそう告げるのだった。

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