第7話

 長々と前哨戦が続く会談。


「ローレシア第二王子殿下につきましては日々この国のために忙しく回っておられる様子。この国の民もローレシア第二王子殿下を迎え入れられ、さぞお喜びになっておられるでしょう」


「この国の民がそう思ってくれるのであれば私としても鼻が高いばかりであるな」


「えぇ、ローレシア第二王子殿下であれば間違えなくこの国の民から好かれるでしょう。ローレシア第二王子殿下はこの国を強き国へと変えていくつもりなのでしょう?」


 徐々に話が核心に迫っていく中、僕はいきなり話を急展開でぶっこむ。


「えぇ……私としてもこの国を強国化しようと思っているのだよ」


「……ッ」


「だがしかし、この国にはノウハウも金銭も足りない。そこで、だ。私としてはレアンドリュー帝国を頼りにしたいと思っている。まず、手始めにこの国の軍の再建。レアンドリュー帝国よりノウハウと金銭の援助をしてもらえないだろうか?アルタイル王国へと……あぁ。当然、ノウハウの伝授の為、


「……は?」


 僕の申し出にリリア殿は少しばかり口を空けて固まる。


「それだけではない。軍だけでなく工業やインフラも。造船所や軍需工場、その他衣服は農業具などを作るための工場を作るための金銭の提供。我が国の道の設営を行う技術者並びに金銭……そのすべてをレアンドリュー帝国にお願いしたいと思う。アルタイル王国のため、力を貸してほしいのだ」

 

 僕の申し出。

 それを聞けば実に法外な申し出としか思えないだろう。

 要はアルタイル王国を強くするために必要になってくるもの『すべて』をレアンドリュー帝国のノウハウと金銭でやってね?

 ただし、出来たものはすべてアルタイル王国持ちね?ということだ。

 ヤクザもびっくりの無茶苦茶要求だ。

 

 だがしかし……これを帝国の視点に置き換えてみればそこまで悪い話じゃない。

 この話が通れば目の上のたんこぶであり、僕の登場で厄介な敵になる可能性のあるアルタイル王国を一気に無力化出来るからだ。

 日本がアメリカの犬で、逆らえないのと同じようにアルタイル王国がレアンドリュー帝国の犬となる。


 それだけではない。

 少しでも良いから自分の力を誇示したい王子連中からしてみれば僕の話はすぐにでも飛びつきたい話だろう。

 自分が率いる軍隊と技術者たちが他国に赴き、その敏腕を振るった。

 実質的な国の支配……数多の国を戦わずに降伏させていった皇帝陛下のようではないか!

 そういう話へと膨らむ可能性は十分あるだろう。

 

「どうだろうか?リリア殿」


 一気に話を進めた僕は目の前に座るリリア殿へと笑顔で疑問の言葉を口にした。


 

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