第6話

 レアンドリュー帝国。

 未だどれだけの年を取ろうともその姿は太陽のように輝いていた皇帝陛下は病がゆえに倒れ、未だ次期皇帝は決まらず。

 あまりにも巨大になりすぎた帝国内部には幾つもの火種が存在し、潜在的な敵国も多く存在する。


 苦難の時を過ごすレアンドリュー帝国にとって隣国であるアルタイル王国は目の上のたんこぶであった。

 帝国を揺らすほどの国力はないが、それでも帝都に最も近い国である。

 現在においては一切の脅威ではない……しかし、それでも状況が少しでも変われば一瞬にして帝国にとって厄介な敵成り得る国がアルタイル王国であった。

 

 アルタイル王国の国境部からレアンドリュー帝国の帝都までの進軍を妨げるものは何もないが、レアンドリュー帝国からアルタイル王国に攻め入る場合。

 世界で最も冷たい極寒の地と山がちな地形が待っている。

 実に面倒である。

 

「(……齢一桁。さほど場数も踏んでいないにもかかわらずこの落ち着きよう)」


 そんな関係性の中、アルタイル王国に大使としてやってきたリリア・トールアレイクは自身の目の前に座る少年、ロニアを見て冷や汗を垂らす。


「(やはりただ者じゃないわね……)」

 

 目の前に座るロニア・ローレシアという小さな少年の器の大きさに感服する。

 落ち目とは言え、現代最強の帝国より送り込まれた大使が常識では考えられないような時刻に会談を求めて始まったこの会。

 不意打ちに近い形であるのにも関わらず


「(油断してかかれば私の三分の一程度しか生きていない少年にすべてを持っていかれる……だけど)」


 フリア大国で確固たる大国としての地位を築き、現在も急速に国力を高めているローレシア王国の王子が帝国の目の上のたんこぶであるアルタイル王国の王女と婚約し、わざわざ辺境の地へと訪れた。

 

 もはやレアンドリュー帝国に対する宣戦布告とも捉えられる今回の蛮行。

 それに対して帝国も黙っているわけにはいかない。


「(偉大なる帝国の為、最善を尽くすわ)」

 

 リリアは身を引き締め、今回の会談に望むのであった。




 さて、そんなリリアの前の座り、最高峰の評価を受けているロニアは一体何を考えているのだろうか?


「(お目の前のお姉さんエロくて良き、パイも尻も太もももすべてデカい……ムチムチだぁ!実に素晴らしい。眼福眼福)」


 最低である。

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