第21話
レアンドリュー帝国が帝城。
その一角にある応接室で僕とマキナはレアンドリュー帝国の頭脳と称される宰相閣下と会談の場についていた。
「さて、不意打ちに近い形でのアルタイル王国への侵攻。これに対してどう落とし前つける気だ?宰相閣下さん?」
僕は堂々たる態度で宰相閣下へと向かい合う。
「私たち帝国の足取りは不滅であり、止まることはないのですよ。ローレシア王国が第二王子よ」
「ハッ。あんたでさえその認識であると?」
「……」
僕の言葉に宰相閣下は沈黙し、押し黙る。
「亡き皇帝は自国の状況をよく理解していたようだよ?」
「アルタイル王国の牙が我が帝国に届き得る、と?」
「届かないだろうなぁ……だがしかし、うちの国は違うぞ?」
「そうですわ!はっきり言ってレアンドリュー帝国を相手に負ける気がしないですの!ローレシア王国が動いたとき、他国がどう動くか。そんなの簡単ですわ!」
「……ふぅー。皇帝陛下。何故、貴方はもう少し」
「皇帝の死さえも想定内だ。あのおっさんは僕の前で弱音を見せるほどに追い詰められ、すべてを諦めていた。そんな人間が長く生きていられるわけないからな」
僕は上を向き、ぽつりとこぼすように漏らした宰相閣下の言葉を否定する。
「我が国とアルタイル王国の終戦交渉に応じましょう。本件は第四皇子が暴走した結果。第四皇子の首をお渡しすると共に身内の者の暴走を止められなかった詫びとして賠償金の支払い並びにアルタイル王国への最大限の譲歩を見せましょう」
「まぁ、そんなところだろう」
レアンドリュー帝国にも問題なく勝てると豪語したが、別に戦いたいわけじゃないし、勝率だって百パーセントではない。
他国がどう動くかもわからないしな。
未来なきレアンドリュー帝国よりも未来あるローレシア王国を潰すのを優先する可能性も十二分にある。
「それでは賠償金並びにその他の賠償に関してはまた後で……とりあえずは早々にアルタイル王国内に攻め入り、寒さに凍えている自国の兵への撤退命令をよろしくお願いしますよ」
終始こちらのペースで進んだ会談の場において一方的に要求を告げ、僕とマキナはこの場から退出するのであった。
まぁ、自国の英雄が一人であるロベルタの遺体を持ってきた大国の王族二人に強気な態度は取れないよねぇ。
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