第22話

 皇帝を失ったばかりのレアンドリュー帝国によるアルタイル王国侵攻。

 世界全体を驚かせるその一報は更なる驚き。

 レアンドリュー帝国が誇る六大将軍の一角であるロベルタをローレシア王国のロニアとマキナが撃破し、レアンドリュー帝国が譲歩する形でこの戦乱が終結したという一報によって戦端は閉じられた。


「これで完全にレアンドリュー帝国の息の根は終了だね」

 

 レアンドリュー帝国の方からアルタイル王国へと舞い戻ってきた僕は自室のベッドで深々と腰を下ろし、深々と息を吐く。


「……そこまでの痛手なの?」

 

 そんな僕の言葉に対して同じ部屋にいたミリオネが反応する。

 ここにいるのは僕とミリオネだけ……既にお姉さまはローレシア王国へと戻っている。


「そうだね……言い方は悪いけどアルタイル王国は弱いし、僕もお姉さまも若いからね……今回の敗北はレアンドリュー帝国にとって看過できないほどの痛手だろうね。他国から本格的な凋落として見られるだろうね」


「……なるほど」


「だが、この状況は僕らにとって好条件だ。こと、今に至ってレアンドリュー帝国はうちの国を熱心に叩いている余裕はなくなったはずだ。刺されたくない厄介な相手としてレアンドリュー帝国に残り続け、それ相応の礼節でもってうちに対処してくれるはずだよ」


「確かにそうだね。うん……私たちはあのレアンドリュー帝国の軍勢を跳ね返したんだもんね」


「そ。これも僕の不在の中、ミリオネがうまくやってくれたおかげだよ。ありがとね……ミリオネがレアンドリュー帝国を追い詰めてくれなきゃここまでの状況は作れなかった。ありがとうね」


「い、いえいえ……ふへへ、ふふん。褒められて悪い気はしないわ」


「それなら良かった……後は最低限レアンドリュー帝国が崩れるようにしながら盾とし、レアンドリュー帝国の影でぬくぬくと成長を遂げるだけ……ふわっはっはっはっは!僕が忙しく動き回るのもこれで終わりよ!」


「……」

 

 僕は自室の中で。

 気分よくハイテンションで高笑いを上げるのであった。

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