悪役貴族に転生した僕は中立国家で安心に暮らしたい~平和に暮らすため、大国から小国へと逃げてきた僕をブラコンで愛の重い姉が追ってくるんだけど……ゲームの主人公を含めた世界各国の英傑を伴って~
リヒト
第一章
第1話
異世界転生。
僕が思うにそれが爆流行りした理由は異世界転生の構図が宗教とまったくもって同じ構図であるからだと思う。
宗教の基本的な理念は神を信じなさい。
さすれば死後、天国に行けるでしょうということだ。
いわば神を信じるだけで死んだ後、天国で幸せな生活を得られるということだ。
それでは異世界転生の基本的な構図はどうか?
ざっくり言うと死んだ後、異世界で幸せな生活が送れるというのがほとんどであろう。
両者共にたとえ、現世に希望がなくとも死んだあとはこんな幸せな生活を送ることが出来るという話なのだ。
人類の歴史の中で常に流行り続けている宗教、そして世界で最も売れた本である聖書。
それらと同じ構図を持つ異世界転生が爆流行りするのも至極当然と言えるだろう。
まぁ、宗教は道徳科目なので神を信じなさいと義務が追加され、ラノベは娯楽用品なので幸せな生活に厚みが追加されるわけだが……あれ?義務が追加され、人々の道徳心を育てる宗教とただの娯楽用品を一緒にするとか失礼なのでは?
「……」
まぁ、それはともかく……いや、こんな宗教だとか、こんなクソみたいな話はどうでもいいねん。
重要なのはそこじゃない。
「ばぶぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!」
重要なのは今の僕の状況。
「あぁ、泣かないで、私の赤ちゃん!」
「おっ、おお、おぉぉぉおお!?」
「だ、だいじょうぶ!?」
「皆様、落ち着いてください……これくらい少しあやせば……」
信号を無視して突っ込んできたトラックの光り輝くヘッドライトで視界を焼かれ、体に強い衝撃が走ったかと思えば。
いつの間にか柔らかなベッドの上で、ずいぶんと可愛らしくなった己の体を西洋風の顔つきを持った美人メイドさんに持ち上げられている僕。
「おー、よしよし」
異世界転生させるなら今世に絶望している奴選べよぉーッ!!!こちとら彼女も出来て順風満帆な高校生活を送っていたんだぞぉ!!!
あぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!!
明らかに日本風の建物ではないまるで西洋の屋敷のように美しく、広い屋根の下で赤ちゃんとなってあやされている己。
「はーい、ねましょーね」
自分の身をあやす天才的な美人メイドさんよりもたらされる眠気に抗いながら、もうなんか異世界転生したという事実に絶望しながら現実世界になんとか戻れないかと暴れに暴れ散らかしてとうとう美人メイドさんの手から離れた僕……あれ?赤ん坊の体でここから落ちたら死ぬくね?
いやでもここで死ねば……ワンチャン現実世界に戻れたり……。
「あわわ!?」
地面に近づくとともにもはや死ぬ覚悟すら決めつつあって慌てて掴んで抱き寄せる美人メイドさん。
その際に僕の顔は何か柔らかいものに押さえつけられる。
「……んっ」
あっ、おっぱいや。
僕の顔におっぱいがァ、触れているッ!!!
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