第2話
アルタイル王国が誇る王宮。
簡素ながらも機能美に優れているその王宮の一室に僕の部屋が徐々に出来始めていた。
「うーん……何と言うか、ちょっと申し訳ないくらい豪華になった」
ローレシア王国とアルタイル王国の国力の違いは歴然であり、当然その国の王族同士の持つ金銭にも大きな違いがある。
アルタイル王国の王族よりも、僕個人の小遣いの方が多い……そこまでに差があるのだ。
そんな僕がアルタイル王国に引っ越してきた結果。
僕の部屋だけが異様に豪華と言う状況になってしまった……なんとなくちょっとだけ申し訳ない。
「別に気にしなくて良いのよ?そもそも……ロニアくんはここにいるべき人間
そんな僕に対して隣に立っていたミリオネが口を開く。
「僕は何処にいようとも僕だよ。どこであっても僕という輝きが奪われることはない」
「お、おぉ……」
「まぁ、ちょっとカッコつけただけで普通に居場所によって輝き方は変わってくると思うけど」
「あ、あれ?」
「好きな女の子の前ではかっこつけたいもんなんだよ……最後までかっこつけたかったけど、そもそもの話として僕の目的はかっこつけることじゃないから否定するとことにしたよ」
「……えっ?違うの?」
「僕はそんな目立ちたがり屋じゃないよ。出来れば平穏で波風の立たない生活を送りたい」
「そ、そうだったんだ……それならうちの国は最高かも」
「とはいえ僕がこの国に変革をもたらすつもりなんだけど……もう少し国力をつけたいよね」
「なんでわざわざそんなことを……?」
「んー?せっかく来たのだから最低限の義務はこなさいと。僕はこの年になるまでローレシア王国の民衆の血税によって支えられ、これからはこの国の人間にも支えられる。貰った分は働かないかとね」
「な、なるほど……」
「っと、良し。まぁ、こんなところか」
自分の隣にいるミリオネと雑談を交わしながら自分の部屋の家具類の配置を魔法で弄っていた僕は腕を止める……とりあえずはこれで良いだろう。
僕は部屋の隅に配置したベッドへと腰掛ける。
「ふふふ、さっきは最低限の義務はこなすよ!なんてカッコいいこと言ったけど、今日はこの国に来て二日目。王宮入りは今日が初。とりあえず今日ばかりはのんびりさせてもらおうかな。ミリオネも座りな?」
「あっ!そうだよ!私は文句を言いに来たんだった!いくらローレシア王国の第二王子だからってあまりにも勝手に動かれると困るんだけど!抜け出されて凄く困ったんだから!」
「……」
僕は自分の隣へと腰掛けるミリオネの追及から目を背けるのだった。
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