第3話
アルタイル王国へとやってきた僕は早速数多くの仕事をこなしていた。
この国にはまともな文官が居ても、優秀な文官はいない……ローレシア王国で英才教育を受けてきた僕の方がこの国の文官たちよりも能力は上であった。
「うーん。やっぱりほとんどの時を氷で閉ざされている港しかないのはきついな」
主な僕の業務内容は改革全般。
文官たちが行っている通常業務とは別にこの国の国力を上げるための作業をミリオネの父親である国王陛下にも認めれて行っているのだ。
「魔法で溶かすのも問題ないけど……航行を行うのに魔法を毎回使うわけにもいかないし、とはいえ、高いんだよなぁ。やっぱりうちの国を頼るのが良いのかなぁ」
地図を広げる僕は一人でうんうんと唸る。
この国に不凍港はない……高緯度であるため、この国の港は冬になると常に凍り付いてしまうのだ。
だが、魔法があるこの世界の砕氷船は地球の砕氷船よりも遥かに高性能である。
最新技術でもって作られた砕氷船であれば大した費用もなく楽に……問題は砕氷船を作る際のコストであるが。
「となると、やっぱり目につけたいのは北理亜各国だよね。あそこの国の良質な魔鉱質を買い取り、それをローレシア王国の造船所に送り……いや、ローレシア王国の造船所なんて大したものでもないし、こっちの国に作る方が速いか?」
アルタイル王国の北に位置する北理亜各国は砕氷船……魔法が込められた道具である魔道具を作るのに必要な魔鉱石を大量に採取することの出来る資源大国だ。
アルタイル王国と北理亜各国とで交易を行えれば大きな利益になるだろう。
「問題はこっちから送るための品物……ローレシア王国から引っ張ってくるしかないのかなぁ」
既にうちの国では産業革命がちょっとずつ起こり始めていて、様々な産業が育ちつつある。
それを北理亜へと大量に送るのが一番か。
ローレシア王国からアルタイル王国には大きな河川が通っている。
かなり大規模に河川舟運を行うことが出来るので、実行も可能。
「この国だけで頑張ることは諦め、多少強引でも良いからうちの国の力を使うかぁ……僕がこの国に来た時点でもうアルタイル王国がローレシア王国の傘下に入った扱いだろうし」
僕は自分の持っているコネと人脈、権力を使って長らく停滞していたアルタイル王国へと新しい風を起こし始めるのだった。
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