第5話
世界宗教であるブレノア教。
そして、僕が生まれた国であり、世界の中でも有数の中の大国であるローレシア王国。
圧倒的な宗教的権威に圧倒的な大国の財力。
それれが組み合わせたって建てられたロイア大聖堂はまさに壮大で壮麗の一言。
豪華絢爛な王級とはまた違って赴きと美しさ、圧倒感を感じる。
「お髪に触れさせてもらいますね」
「……うむ」
そんな大聖堂へとやってきた僕は、この後すぐに行われる魔法授与式のため、メイドから飾りつけをされていた。
純白で豪華、細部のつくりまで非常に丁寧な逸品を着させられ、指輪やネックレス、ブレスレットなどと言ったアクセサリー類を次々とつけられ、最後に髪などのセットが行われる。
「これで完成です。お綺麗ですよ」
「……うん、ありがとう」
最終的な出来上がりとしてはかなり良さげななのではないだろうか?
今世における僕の見た目は元からかなり良い……それが最大限に飾り付けられたのだ。ダサくなることはない。
これなら大舞台に立っても恥をかかないだけの見た目の良さだろう。
問題は歩くだけでじゃらじゃら言う大量のアクセサリー類だ。
この七年間で王族らしい贅沢をせず、前世における価値観を引きずっている僕としてはこんな高そうなものを身に着けるなど、どうしても委縮してしまう。
こんな服を着て……これから大勢の貴族が待っている大聖堂の礼拝堂へと向かうの?……マ?
かかるプレッシャーとかがこう凄くて、緊張感がヤバい。
七年間隔離されてのいきなり大舞台は流石に泣けるんだが?
「緊張なさる必要はございません。ロニア様。貴方に仕えてから早いことでもう七年……ここに至るまで、ロニア様は実に頼もしく、強く、美しく成長なされました。相手が何であろうとも臆する必要はございません。ロニア様は王族なのですから」
僕の飾りつけをやってくれたメイドさん……僕が初めて自分を認識したあの日からここに至るまでずっと自分の面倒を見てくれた未だ名前もわからぬメイドさんが緊張している僕に向かってそう話してくれる。
「私の名前はリーナと申します……ここまで七年お仕えさせてもらったこそ、自信をもって断言できます。貴方は多くの者に期待され、上に立つ価値がある人間であると」
「そ、そう……うん、ありがと。そうだね。君が七年かけて仕えてきた人間の価値を見せて来るよ」
メイドさんの言葉を聞いて肩にたまっていた力を少しだけ落としせた僕はメイドさんに向かってそう告げる……き、緊張は薄れていたけど、信じられないくらい高価なものを身に着けているという事実に対する恐怖は全然薄れてくれないんだけど。
この服以外はない……?ない、そうですか。
実に王族らしい純白のお召し物であると……そう、そうなのね。王族と言えば白みたいながあるんだね。
うん、頑張るよ。
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