第6話
美しく巨大なステンドガラスより差し込んでくる幻想的な光に照らされてるローレシア王国のロイア大聖堂が誇る神秘的な礼拝堂。
その祭壇の前で跪き、祈りを捧げる僕の前に立つラツィレ教国から訪れたブレノア教の教皇猊下が僕の肩へと手を置きながら、何かをぶつぶつと呟いている。
何十という多くの貴族の視線を背後に浴び、僕は教皇猊下の儀式が終わるのを待つ……僕が儀式中、目を瞑って下を向いているから一体教皇猊下が何をしているのかを把握できない。
なんかちょっと不安だよね。
「おぉ……素晴らしい」
そんなことを考えながら待っていたところ、ぼそりと教皇猊下が感嘆の声を漏らしたのが僕の耳に入ってくる。
「その身、その精神に与えられし神からの祝福は実に神秘的で深い……これほど前に神に愛された子は久方ぶりに見る」
僕の上の方でそう話す教皇猊下……話聞いていた感じ、結構よさげ?なんか使えない子からの追放ルートは避けられたかな?
「神より与えられし栄光の道を進むローレシア国王陛下の子よ、顔をゆっくりと上げると良い」
「……」
僕は教皇猊下の言葉に何も返事はせず、ゆっくりと顔を上げる。
「神より与えられしその祝福が色は『虹』。その色であれば七属性魔法が全て使いこなすことも不可能ではないだろう。そして、固有魔導は『黒』。すべてを塗りつぶすその強い色は希望にも、絶望にもなるであろう」
虹だの、七属性魔法だの、黒だの……固有名詞が多すぎていまいち全容がつかめない。
だが、なんとなくのニュアンスと教皇猊下の言葉。
そして、後ろにいる貴族の方々の歓声よりかなり良さげであることがわかる。
「君が人類の希望となることを、一人の人間として、一人の敬虔な信徒として快く祈っている」
教皇猊下のその一言。
これで七歳となった僕の一大イベントは終わり……とりあえずこれで僕の出番は終わりとなる。
礼拝堂へと入場する際の一礼、教皇猊下への礼と祈り……やったことなどほとんどなく、喋ってすらいないのだが、それでも僕はどっと疲れを感じるのだった。
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