第10話

 わずかに自分の頭へと走った痛みがすっと抜けた後。


「……なるほど、こんな感じなのか」

 

 天啓を得た。

 そうと思えないほどに突然に、それも明瞭に魔法に関する知識が流れ込んできた僕は半ば困惑しながら神の贈り物扱いされたことに納得する。

 これは神の贈り物だわ。

 

 マジで事前知識など何もなしに魔法の使い方がダイレクトに来る。

 いきなりこんなもん来たら誰でも神とかのような上位存在のおかげだと思うわ。


「……黒属性、使いどころ難しいな」

  

 固有魔導。

 それはゲームにも出てきたからわかる……ごく一部の才能あるものだけが持つ固有魔法の属性。

 固有とか言いつつちょいちょい被るのが固有魔導であるが、黒はゲームにロニアしかいなかった。

 ゲームじゃ結構強い魔導だったけど、最初の方は結構使うの面倒だな。


「さぁ!わかったのなら早速魔法を使ってみるのですわ!」


「うん。まぁ、そうだね」


 僕はお姉様の言葉に頷き、簡単な初級魔法を唱える。

 ちなみに詠唱なんてない……ドラ〇エとか一ターンでサクッと発動させるでしょ?それと同じ。


「『ファイヤーボール』」

 

 僕は魔法を発動……天に向かってこぶし大の火の玉が飛んでいく。


「おぉ……」

 

 実際に打ってみた初めての魔法……結構感動する。これ。

 僕は若干体を震わせながら感嘆の声を漏らす。


「おぉ!!!流石ですわ!初手の魔法でここまできれいにうまく発動するなんて……やっぱり神童ですわぁー!!!」


「……え?普通の人は初手に成功できないの?」


「出来ませんわ。大体の人が失敗するんですの。私もかなり苦労しましたわ。どうしても一番最初はうまくいきませんでしたの。それなのに一発成功するロニアは神童ですわー!」


「な、なるほど……」


 僕はお姉さまの言葉に頷く……やっぱりここは現実世界。

 技術も当然絡んでくるか。ここがゲームではないと……しっかり認識していないとな。


「この調子でどんどん魔法を使ってなれていくんですわ!私も最大限お手伝いするですわ!」


「うん、ありがと」


 僕とお姉さまは心行くまで二人で魔法を発動し合い、その時間を楽しんだ。

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