第3話
異世界に転生した僕の生活。
今のところは特に変わり映えもしない生活を送っている。
「んぅー」
五歳となった僕がやっているのは両親から渡される課題をこなし、それが終わった後は騎士の人と共に簡単な運動をこなす。
……なんかやっていることが五歳とは思えないし、なんなら周りの大人たちからも神童だなんだってことを良く言われるのでどう考えても僕は選択を誤っているようにしか見えないが、
「……お姉ちゃん、早く来ないかな」
五歳となり、何不自由のない生活を送っている僕であるが……この世界における一番の敵は退屈である。
七歳までは外出禁止。
魔法もこの世界にはあるらしいのだが、それについて触れさせてくれるのも七歳になってから。
どうやら僕は一国の王族の生まれらしく、かなり命の危険が多いだとか。
そのため、死亡率の高い小さい頃は慎重なんて言うレベルを超えて丁重に扱ってあげる必要があるため、このような対応となっているそうだ。
まぁ、王族だから命の危険が多いと言われるのも納得であるし、七歳まではとりあえず丁重にってのもわかる。
だが、暇なものは暇だ。
「ロニア!今日もお姉さまが来ましたわよ!」
僕が一人で自由に行動範囲である馬鹿みたいに広い自室。
そこに置かれたベッドの上でゴロゴロしながらボケーっとしていると、部屋の扉が開かれてお姉さまがやってくる。
基本的にはこの広い部屋で一人、過ごすことの多い僕にとって毎日のようにやってきてくれるお姉さまの存在は非常に大きい。
僕が会う人間なんてあんまりこっちに反応してくれない使用人たちに、同じくあんまり反応してくれない騎士と教師。
その他はたまに来てくれる両親とお姉さまだけなのだ。
このお姉さまの存在が僕にとってはかなり大きい。
「今日はお友達と楽しんだカードゲームをやりましょう!これは本当に楽しくて、お父様に頼んで私とロニア専用のカードを買ってもらったの!」
「おぉー。良いじゃん、やりましょう。お姉さま」
ベッドに寝っ転がっていた僕は立ちあがって、大きな机と四つの椅子が置かれている方に向かい、一つの椅子へと腰掛ける。
「えぇ!やりましょう!」
そして、お姉さまは普通に席へと座っていた僕を持ち上げ、自分が座ってから僕を膝の上へと乗せて、後ろから力強く抱きしめてくる。
「はい」
背中にようやく成長の息吹を感じられるようになったお姉さまのお胸を感じながら、机にカードを並べていくお姉さまの手を僕は眺めるのだった。
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