おまけ 成果報告会【天音side】

「今日はありがと〜」


「あんなところ目撃したら応援したくなるって」


「わかる。天音は押し弱いから」


「それあんたにも言えるからね、玲花」


「ナギもそうだよ」


「あんたたちはあーしと違ってその美貌で押せばイチコロでしょ。それをウジウジしやがって…」


「それもナギに言えることだよ」


「は?喧嘩売ってる?」



 あたしと玲花、ナギちゃんの三人で通話中。

 今日は三人で遊ぶ予定だったが、急遽二人が気を遣ってくれたおかげで彼とデートすることができた。


「それより、どうだったの?斎藤君とのデート。何もできずに終わってたら許さないからね」


「ちゃんと告白した?」


「告白は…してないけど、でも!ちゃんと頑張ったよ」


「へぇ~、具体的には?」


「あ~んしたり、間接キスしたり、手繋いだり」


「「おぉ~」」


「あとは、ほっぺにキスしたり」


「「おぉ~〜!!」」


「頑張ったじゃん!」


「うん、恥ずかしくて顔真っ赤になりそうだったけど自然体装って頑張ってきた」


「…………恥ずかしがらなかったの?」


「下心あるって引かれたら嫌だったし…」


「キスのときも?」


「うん、そうだけど」


「マジか……」


「これはこれは……」


 二人して盛大にため息を吐く。

 惚気話にうんざりしたのかな?

 それとも羨ましがっているのかな?


 今日は十分に彼にアタックできたと思う。

 彼も顔を赤くしていたし、効果あったはず……

 これからはもっと話す機会増やして、仲を深めていけたら、キスとか、ハグとか、エッチとか……


「バッッッカじゃないの!!」

 

 妄想して一人ベットの上で足をバタバタさせて浮かれているあたしとは反対にナギちゃんの怒声が部屋に響く。

 その声にビクッとすると続けてナギちゃんは畳み掛けてきた。


「あんたみたいなクラスの人気者が平然とそんなことしたら男慣れしてるって思われるでしょーが!ただでさえあんたは距離が近いんだから、斎藤君は他の男にもやってるんだろうなって勘違いするでしょ!なんで照れなかったわけ!これじゃあ、本当はピュアなあんたがヤり慣れたギャルビッチにしか見えないでしょ!」


「でも、顔赤くして――」


「あんたみたいな美人がそんなあざといことして意識しない男はいないの!自分の可愛さに気づけ、ビッチ!!」


「ビッチは言い過ぎ、バカくらいにしてあげて」


「玲花までそんなこと言うのぉ……」


 自分の非に気づくと、どんどん心が落ちていく。

 ナギちゃんの言葉がかなり効いている。

 

「嫌われたりしないよね?」


「ああいうタイプって清楚な子が好きそうだから厳しいんじゃない?」


「でも、オタクはギャル好きって――」


「それ、二次元限定」


「あんたの無駄に演技力いいところが邪魔したわね」


「そんなぁ……」


「次頑張ろう」


「そうね、あんたなら誰でも――」


「嫌だ!」


 それだけは死んでも譲れない。

 あたしが好きなのは彼だけだから。


「…………まあ、二人でいる機会増やせばいいんじゃない?学校でも積極的に話しかけるとか…」


「それは天音がしたくないって」


「うん、迷惑かけると思うから」


「でも、話しかけないことには始まらないでしょ。彼が単純すぎない限り、今日のデートであんたの好意は伝わってないよ」


「…………明日、声かけてみる」


「じゃあ、早く寝たほうがいいよ。万全の状態で行きたいでしょ」 


「うん、ありがとう。じゃあ、落ちるね。おやすみ」


「おやすみ〜」

「おやすみなさい」


 二人との通話を終え、天井を見上げる。

 もう一度、戻ってデートをやり直したい。

 彼の前で取り繕わないようにしようとした結果がこれだ。

 挽回したいな……

 瞼を閉じ、今日の彼との時間を思い出す。

 ナンパ男たちにキレている彼、照れて顔を真っ赤にしている彼、集中している彼、あたしの押しに困っている彼、笑顔であたしを見てくれる彼――

 ポニーテール好きって言ってくれたなぁ。

 明日していったら喜んでくれるかな。

 

 あたしのこと好きになってくれるかな。


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