第11話・混乱と狂乱
「デスゲーム?え?デスゲームってどういうことだ?」
一人のプレイヤーが困惑の声をあげた。
同じように皆困惑の声をあげる。
無理もない、俺だって困惑したし、混乱したし、なんなら発狂した。
ただ、流石にこんな画面一つじゃ、まだ本当にこの世界がデスゲームになったと確信が出来ていないのか、そこまで混乱は大きくはなかった。
「もしかしてイベントじゃないか?」
「いや、バクかもしれないぞ」
「そうだ、デスゲームなんて、そんなライトノベルじゃあるまいし」
プレイヤーは次々と、デスゲームというのを否定する内容を口にする。
皆、その言葉を聞いて「そうだそうだ」「そんな訳がない」「これは運営からの可愛らしい嘘だ」等々、この世界がデスゲームとなったことを否定していく。
そうして混乱は少し落ち着いたと思われた時、画面にニュースが映った。
そのニュースの内容は衝撃的なものであった。
このゲームを創った大企業の方から、予期せぬエラーが起きてプレイヤーを無理やりゲーム筐体から出した場合に高圧電流が流れて死亡をする可能性があるということ。
ゲーム開発の責任者及び研究員達が複数名失踪したこと。
ゲーム内でのログアウトが特定の条件を満たさないと出来なくなってしまったこと。
特定の条件をプレイヤーが自力で満たす為にゲーム内の時間を健康に配慮した上で一定速度まで加速させること。
等々。
これらの不祥事に対して代表取締役社長が辞任を表明して頭を下げている様子。
最後にまるで証拠かのように、カプセルに入っている俺らが続々と国の運営する病院に運び込まれてカプセルを少しだけ開けられて隙間から点滴注射がされている様子が映し出されていた。
着ている服は当時のまま、顔にモザイクこそかかっていたが、本人である自分たちが見れば一発で分かるレベル。
そして、理解したくないが、理解させられてしまう。
本当にデスゲームが起きてしまったということを。
「嘘だ。嘘だ。噓だ。噓だ。噓だ。こんなのあり得ない」
一人のプレイヤーが叫ぶ。
混乱が広まる。
更に新しい画面が表示される。
【この世界の1日は現実世界で30分である】
【どちらかの条件をクリアしてログアウトボタンが復活して、ログアウトした際には健康上の手続きの為に現実世界の方で30分間の時間を置いてから現実世界に戻ることが可能である(この際の30分間はキャラメイキング時に使用した草原の方で待ってもらうという形となる)】
【不定期でイベントを開催するよ。イベントの内容は様々あるよ】
ピコン
【イベント開催!!ドキドキワクワクじゃんけん大会】
【ルールは簡単。
プレイヤー全員を1か所に集めてじゃんけん大会が行われるよ。
現在参加者は985名なので、約30人のグループを30グループこちらでランダムに作成するよ。
その中でプレイヤー同士で自由にじゃんけんを行います。一番最後まで生き残った勝者一人と一番最初に負けた敗北者を一人選出するよ。
そうして、30グループそれぞれの勝った30人と負けた30人のグループに分けて更にじゃんけん大会をするよ。
勝った30人の中で最後まで勝ち抜いた最強のじゃんけん王はログアウト出来る権限が与えられるよ。
逆に負けた30人の中でも更に負けた、じゃんけん最弱王は強制的に死亡して貰うよ。
以上。
ドキドキワクワクじゃんけん大会頑張ってね】
そして第一の地獄が始まった。
この時の俺は思いもよらなかった。
このじゃんけん大会であれだけの人死にがでることを。
――――――――――――
文字通り、ドキドキ(生死かかってる)ワクワク(勝つためには暴力行為もオッケー)じゃんけん(物理的な)大会。
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