第13話・ドキドキ(生死かかってる)ワクワク(扇動)じゃんけん(しない)大会・後編
「おい、そこのお前、何黙ってるんだよ。何だ?生贄になることを受け入れたのか?」
明らかに頬を緩ませてる大柄な金髪野郎、否、馬鹿だ。
どうやら俺を生贄に出来そうでご満悦なようだ。
さて、始めるか。
「ありがとうございます。まさか、自分から生贄になってくれるとは。いやもう本当にありがとうございます」
俺は俺を嵌めようとした馬鹿の手を掴み、ぶんぶんと振って大袈裟に感謝を伝える。
「は?何を言ってるんだ」
戸惑う馬鹿。
ついでに周りの皆も戸惑っている。
「いや、だって。私を生贄にしようって提案をするってことは自分も生贄になる覚悟があるってことですよね?」
「は?何、馬鹿なをことを言ってんだお前」
俺に怒鳴る馬鹿。
そう、それでいい、もっと怒鳴れ怒鳴れ。
「え?よく言うじゃないですか?撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだってね。てことは、人を生贄にするって言うってことは自分も生贄になる覚悟があるってことじゃないですか」
ゲーム好きが集まってる状況だ。この言葉にピンとくる奴は多いだろうな。具体的な例っては説得力を増させれるんだぜ。
「は?それとこれとは話が違うだろ。いいからお前はとっと生贄になれ。俺の言うことを聞けばいいんだよ」
馬鹿は我慢の限界が来たのか俺をぶん殴った。
スキル【死に戻り】もあるし、一応全ステータスに10ずつ振っているので死なないだろうと考え、わざと殴られる。
そしてわざと派手に転ぶ。
15ダメージ入りました。
全HPが110と考えれば、思いの外ダメージは入ったが、まあ全然許容範囲だ。
しっかし、ここまで上手くいくと気持ちが良いな。手を出してくれてありがとう。
「皆さん、今のを見ましたか。コイツはすぐに人を生贄にしようとしたり、気に食わないことがあればすぐに暴力を振う、危ない人間です。それこそ自分の為ならば人を殺すことに躊躇いすら持たないでしょう。
こんな奴の言いなりになっていいのですが、それに考えてください」
「おい。黙れ」
俺に更に殴りかかろうとする馬鹿のパンチを避けつつ、俺は更に言葉をつづける。
「今、コイツは私を殺そうとしてます。コイツは殺人を犯そうとする犯罪者です。
もし仮に私が生贄になったとして、コイツは最悪自分がじゃんけんで勝つために暴力を振うんじゃないですか?
最悪、デスゲームから抜け出す2つ目の条件である10人のプレイヤーの殺害すら行うかもしれません。
私達は協力してこいつを排除しなければなりません。
私達全員の安全の為に。
全員で協力して捕まえてコイツを生贄にしましょう。それが一番の方法です」
皆の目を見る。
怯えと恐怖を感じる。
ただ、それ以上にこれだけの人数がいるのだから、全員で協力してこの馬鹿を生贄にした方が良いのではという一体感を感じた。
ああ。いい。
凄く良い。
後は最後1ピースだけだ。
「俺が人を殺すなんてことをするわけがないだろ」
馬鹿が馬鹿なことを言うが、誰も信じるわけがない。
「おい、お前らなんだその眼は殺されたいのかって、あ」
馬鹿がまた馬鹿をやる。さっき言った言葉を忘れたのか。
「もう知るか、今すぐお前らを10人殺してやる」
そう言って、背中にある大剣に手をかける馬鹿。
その瞬間に俺はタックルをかまして、馬鹿を後ろに押し倒す。
ステータスの差的に上手くいくか少し不安だったが、上手くいって良かったわ。
「今です。皆でこいつを押さえつけましょう。そこに近くにいる剣を持った男性プレイヤーさん方手伝ってください。早く、犠牲者が出る前に早く」
俺は近くにいたおそらく戦士系統の男性プレイヤー数人を指名して、手伝わせる。ここで全員で押さえつけるとかいえば誰かがやるだろうってなって誰も動かない可能性があるからな。
俺の言葉に一瞬戸惑いつつも、この馬鹿の凶行を思い出して、慌てて拘束に手を貸してくれる。
そうして俺含む6人の男性プレイヤーで馬鹿を押さえつけた。
数は力、馬鹿はほとんど動けなくなる。
「てえめら。こんなことをしてどうなるか分かってるだろ」
懲りずに馬鹿なことを叫ぶ馬鹿を無視して、手の形を無理やりグーにする。
「さて、皆さん。全員でじゃんけんをしましょう。もちろん出すのはパーです。全員パーを出してください。
いいですね?
行きますよ?」
「「「最初はグー、じゃんけん、パー」」」
ピコン
最初の敗北者が決まりました。
プレイヤー【スーパージークフリード】がじゃんけん最弱王決定戦30人の一人に選ばれました。
これより、残り31名全員は敗北をしたとしても一切の戦闘行為が禁止されている控室に転移することとなります。
ピコン
スキル【扇動】level1を獲得しました。
【扇動】か、割と使えそうだなスキルだな。ラッキー。
まあ、ぶっちゃけた話いえば、正直【死に戻り】あるし、別に死んでもそこまで大きく問題はないが、まあ、この場面わざわざ生贄にされる理由なんてのはないし、あの馬鹿気に食わなかったし、うん。素晴らしい。
まあ、敗者30人が割と冗談抜きで地獄になる気はしなくはないが、所詮他人事、俺の知ったことではないな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます