第12話・ドキドキ(同調圧力)ワクワク(生贄確定)じゃんけん大会・前編
いきなり転移させられた。
目の前には大体30人くらいの人がいた。
どうやらあのふざけたドキドキワクワクじゃんけん大会とやらは始まってるらしい。
30人を見渡すが、数人情報収集の為に話しかけた人がいた。
ピコン
画面が表示された。
俺含め全員がその画面を確認する。
【このグループの人数は32人だよ。
この中から最後まで生き残った勝者一人が勝者の決勝戦へ。
最初に負けた敗者一人が敗者の決勝戦へと駒を進めるよ。
じゃんけんという形であれば何をしても大丈夫だよ。
以上
ドキドキワクワクじゃんけん大会を楽しんでね】
「楽しめるかよ。何がドキドキワクワクじゃんけん大会だよ・・・」
俺の隣にいる気弱そうな青年が呟いた。
顔はキャラメイキングもありイケメンだが、陰キャのオーラが全開で高校の時は陰キャオタクだった身として軽い親近感を覚えた。
「確かにそうだな。でも、今はやるしかないと思わないか」
話かけてみる。
「確かにやるしかないかもな・・・。それにこれだけ人がいるんだ。負けることはないだろう・・・多分・・・きっと」
明らかな不安を感じた。
無理もない、万が一にでも負けたら死ぬ可能性が大きく増えるのだからな。
「ああ。そうだな」
何となくだが隣の陰キャオーラ全開君と仲良くなれそうだなと思った時だった。
190㎝くらいの身長がありそうな大柄の金髪が声を荒げた。
「おい、そこのお前。お前だよ。お前ぇ~~~。初期装備のままの弱そうなお前だよ」
俺を指さす。
ああ、なるほど、どうやら先手を取られたようだ。
そしてやられた。ここからの展開が容易に想像出来てしまう。
「なあ、お前?生贄になれよ。わざとじゃんけんに負けろよ」
ですよね。
そう来るよね。
そして感じる。
周りの申し訳なさと安堵を感じる目。
そうだよな。それはそうだよなって話だ。
一応、隣も見る、俺を生贄にして自分が助かるというのに明らかに安堵してる目、俺を助けようとは一ミリも思ってない目だった。
友達になれると思ったが、まあこれは無理だな。
人間ってのは、基本的には自分が第一優先だ。
特に今のこの場面においては、全員が他人といっても言い状況かつ、命がかかった危機的状況だ。
そんな中、誰だって余計なリスクは負いたくないというものだ。
32人でのじゃんけん。
一番最初に負けても死にはしないが、死ぬ可能性が大きく増える恐るべきじゃんけん。
それならば適当な誰かを生贄にして自分が死ぬ可能性をゼロにする。
当たり前の話であり、納得のいく話だ。
そして、今流れてとしては俺を生贄にして助かるという流れになっている。
職業すら持っていなくて、この中で明らかに最も弱そうな弱者である俺を。
このまま俺が何も言わなければないし俺が意志の弱い人間であれば同調圧力に襲われて、ないし、最悪全員で襲われて無理やり拳をグーにして負けさせられるだろう。
でも、そうはならないんだよな。
これは俺がスキル【死に戻り】を持ってるから来る自信じゃない。
俺が俺であるかから、新羅・悠斗であるから来る自信だ。
さて、俺を生贄にしようとした馬鹿を逆に嵌めてやりますか。
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