第15話・生贄探し
「もしも、俺がキャラメイキング時点でこの世界がデスゲームになるってことに気が付いたと言ったら信じるか?」
悩んだ末に俺は俺が【死に戻り】というスキルを獲得したという点は除いて真実を話すことにした。
【死に戻り】スキルは俺にとって切り札であり、まだあって日も浅い信用できない相川に伝えるのはリスクが大きすぎると判断をしたからだ。
逆にそれ以外は特に問題はない筈だ。・・・多分。
「・・・、何故デスゲームだと判断をした?」
「キャラメイキングをしてた際に用事を思い出してログアウトをしようとしたんだ。そしたら、Iちゃん、いやAIロボットからこう帰ってきたわけだ。「現在、ログアウト機能は運営により削除されています」ってね。
そんで俺はSA〇が頭に思い浮かんでデスゲームになったんじゃないかって叫んだんだ。
そしたら俺が世界で初めてこの世界がデスゲームだと気が付いたっていう合成音声が頭に響いた。
そうしてこの世界がデスゲームだと確信させられたって訳だ」
「なるほど・・・納得はした。そうか、そうだったのか。すまない。変に疑ってしまって」
「いや。大丈夫だ。気にしないでくれ」
「そう言って貰えたら助かる。ありがとう。そうだな、お詫びといったらアレだが、俺の憶測を聞いてくれないか?」
「憶測?どういうことだ?」
「ここ運営は控室って表現をしてるよな」
「ああ、してるなって。あ、もしかして・・・」
「そのもしかしてだ。俺達は今じゃんけん大会が終わってひとまずは死ぬ危険性がなくなったと安堵してるが、実はまだ続いていているんじゃないか?」
「それは・・・あり得そうだな」
「ああ、そうなんだ。といってもじゃんけん大会だ。ここ控室で出来そうな対策法といえば、生贄探しくらいだな。丁度おあつらえ向きなことに上の画面に生贄に出来そうな人を確認させてくれるわけだしさ」
相川はモニターに映っている。自分が負けない為に非道な行為に手を汚したりしてしまっている人たちを指さす。
「なるほど。そういうことか。因みにこの情報は誰かに伝えてるか?」
「いや、まだ伝えてない。ただ、何人かの知り合いには協力を求めようと思っている。数は力だ。賛同者を増やして生贄にしてもそこまで良心の痛まない人を見つけて無理やり生贄にさせようかなと」
相川の説明は恐ろしく理に叶っていた。
ようは、2回戦目として行われるであろうじゃんけん大会で最初から生贄を決めておいて、始まると同時に集めた賛同者達でその生贄を拘束、無理やり負けさせようって寸法だ。
生贄にする奴は人に害を具体的には人を殺した屑をだ。
幸いだことに今目の前のモニターでに2、3人だが人をキルした上で最初のじゃんけんの敗北者になってない非常に都合の良い生贄がいた。
「俺も賛同者になっていいか?」
俺には【死に戻り】というスキルがあるが、しかし、このイベントの性質上、どう足掻いても犠牲者は出てしまうし、俺が【死に戻り】をしたところで意味は正直ない。
今画面の向こう側で出てしまっている犠牲者についても多少良心は痛むが、じゃんけん大会ということでグループに分かれるシステム上、俺が死に戻りしたことによって助けれるってのは不可能に近いことである訳だしな。
それならこのイベントは速く終わらせるに限るという話だ。
「もちろん。大歓迎だとも。後はやっぱりリーナが欲しかったんだけど。この場所にも画面の向こうにも見当たらなかったんだよな?もしかしたらじゃんけんに勝ったのかもな」
「リーナ、ああ、聖騎士の。確かに現在最強と言ってもいい彼女がいれば相当に心強いな」
「本当にな。クソ、マジで何処に行ったんだよなリーナ」
「あれ?ふと思ったけど?フレンドチャットとかこおのゲームないの?」
「あ。お前、天才かよ。すっかり忘れてた。ちょっと待ってろ。今すぐに確認する」
相川がなにやら操作する。
待つこと数分。
「クソ、マジかよ。悲報だ。悲報。大悲報だ。どうやらリーナはじゃんけんに負けて敗北者の控室って所にいるらしい」
「それって、30人の中から確定で一人死ぬ。あの」
「ああ。それだ。クソ、本当に最悪だ。リーナ間違っても死ぬんじゃねえぞ」
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