第39話・1周目の300年以上未来の世界
「あ、そういえばリーナさんとお話しようって話をしてたな・・・向こうからチャットしてくれるって言ってたよな?」
どうしようか・・・まだ、チャットは来てないな。
まあ、無難に待つか。
一人で町を歩く。
魔物の素材を売ったおかげで現在俺の手持ちは40万ゴールドと非常に余裕があるので何か良い物があれば買おうなんて考えながら歩く。
暫く歩いていると露店がズラリと並んでいる所を見つける。
顔を見ると何となく似たり寄ったりなので、おそらくNPCがやっている露店だろう。
露店で売ってある物は半分以上が食べ物で、ゲームの世界である筈なのに鼻孔をくすぐる良い匂いのする串焼きや、甘い匂いのするフルーツが売ってあった。
値段もそこまで高くなかったので、幾つか気になったものを買い食いしながら歩いていく。
「うん。普通に美味しいな」
食べた瞬間にビックリした。
普通に美味しかったのだ。
一応この世界はゲームである筈だというのに味をここまで再現するとは・・・。
何というか、相当に凄いな。まるでこの世界で暮らすことを前提に作られてるような感じだな。
「そこに兄ちゃん。アクセサリーはどうだい?」
買い食いをしてたら、露店のおじちゃんに話しかけられた。
目を向けると様々なアクセサリー類が所狭しと並んでいた。
ワンちゃん、掘り出し物なんかがありそうだなと思い、完全鑑定を使い確認してみる。
大体は何の効果もないただのアクセサリーであったが、幾つか付与効果の付いてるアクセサリーが見つかる。
といっても効果は攻撃力+1とか防御力+1とかの、あったら嬉しいが、強いかって言われたら。
まあ・・・って感じの効果だった。
そんでもって効果のついてるアクセサリーは値段が5万ゴールドからと中々に強気な価格設定と。
流石に買う気は起きない、というか鍛冶スキル持ってるし自分で作った方が良いのが出来る気がする。
特に良さげな物はないかと何も買わずに帰ろうと思ったが、とある指輪が目についた。
その指輪は錆て黒ずんでいるかなり古びた指輪。
ただ、何となく懐かしさを感じた。
一応鑑定をしてみる。
鑑定結果は古びた指輪と出た。
「しっかしこの懐かしさ・・・まさか、一周目の時に何か関係が・・・」
「どうした兄ちゃん?もしかしてこの古びた指輪が気になったのか?」
「ああ。ちょっとな」
「この指輪はあの死魔地帯で見つかったものでな。とある冒険者が偶々拾って、何か凄い効果があるのか思って調べたが何も分からず、それでもあの死魔地帯で見つかった指輪ってことで最初はそこそこの価値はあったが、結局何の力も効果もないただの汚い古びた指輪だからって理由で売られて行って、最終的にここに行きついたって訳だ」
「死魔地帯って何ですか?」
「知らないのか?死魔地帯ってのは、今から300年以上昔に魔王・サタンと伝説の12人の冒険者が戦い生まれた高純度の魔力に汚染されて突然変異した魔物や植物で溢れかえる、入ったら最後文字通り死んでしまうような恐ろしい場所さ」
・・・・・・・
え?
待て、今何といった?
300年以上昔?魔王・サタン・・・?12人の冒険者・・・?え?
待て待て待て待て待て?
もしかして、いや、もしかしなくても、
【この世界は1周目の300年後の世界なんじゃ・・・・】
いや、だからどうしたという話になれば、答えには詰まるけど、それでも、もしかしたら1周目の俺が何を成し遂げたのか、そして1周目の時の仲間が誰なのかどんな人なのか分かるかもしれない。
もしかしたら、1周目の時の記憶を完全に取り戻す方法だってあるかもしれない。
それが分かれば俺の中にくすぶってる様々な謎も解決する可能性が高い。
これは色々と確かめないといけないな。
「ありがとう。おっちゃん。因みにこの指輪はいくらだ?」
正直この古びた指輪を買うつもりはなかったが、有用な情報を教えて貰ったお礼として買うことを決める。
「ああ、そうだな。まあ、どうせ不良在庫だし、誰も買わないだろうから1万ゴールドでいいぞ」
一瞬高い気はしたが、まあ今は40万ゴールドを手に入れた所だしまた稼げばいいなと思い購入をした。
「毎度あり。また来てくれよな」
古びた指輪を一瞬指に嵌めようと思ったが、古びてるし見栄えが少しアレなのでアイテムボックスに収納する。
ピコン
【リーナ】からチャットが届きました。
非常に良いタイミングでリーナさんからチャットが届く。
確認したら、どうやら用事が終わって、冒険者ギルドの右3つ隣にあるカフェにいるそうだから来てくれとの連絡だった。
断る理由もないので了承の連絡を入れて、俺はカフェに向かうのだった。
――――――――――――――――――――
明らか過ぎる程のキーアイテム
古びた指輪
因みにこれはめちゃくちゃ重要なアイテムです。
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