第40話・1周目の世界の仲間達


 カフェについたら奥の方の席でリーナさんが一人で座っていた。


「こっちだ」

 リーナさんに手招きされたので、向かい側の席に座る。


「リーナさん。いつも待たせて申し訳ない」


 ・・・・・・?

 あれ?

 いつも?待たせてる?

 また、あのデジャヴだ。


「ああ。問題ない。そもそも呼んだのは私だしな・・・さて、早速本題に入ろう」


「その前に、一つ俺からいいか?」


「どうした?」


「俺が今から話す内容を信じてくれないか?

 いや、余りにも非現実的な話だから最悪、信じて貰わなくても構わない。

 ただ、落ち着いて聞いて欲しい」


「・・・分かった。教えて貰える」

 俺は軽く辺りを見る。

 客が俺達以外誰もおらず店員もNPCであるのを確認した。


「実はこの世界は2周目なんだ」


「2周目?」


「ああ。そうだ。1周目の世界で俺達は同じようにデスゲームを行っていた。そして数多の冒険の果てに魔王・サタンを討伐して現実世界へと帰ることが出来そうだった。

 ただ、運営の手により記憶を強制的にリセットされた上でもう一度デスゲームを始めさせられたのだ」


「どうしてその結論に至ったの?」


「ああ、それはだな、かくかくしかじかでかくかくしかじかでな」

 俺は俺の知ってる全てを話した。俺が【死に戻り】のスキルを持ってること、このスキルのある意味のバクのような形で1周目の世界に迷い込んだこと、そこで得た本当は1万人のプレイヤーがいたこと、数多くの犠牲が出てること。

 俺には1周目の世界でイトという最愛の人がいたこと、彼女から俺はこの世界の真実を教えて貰った可能性があること。

 この2周目の世界が1周目の世界の300年以上先の世界である可能性があるということ。


 それはもう全て話した。


 正直、ここまで話すつもりは一切なかった。

 ただ、気が付いたら全てを話していた。

 話していて、何となくリーナさん、いや、リナは信頼出来ると俺の魂が訴えかけたのだ。

 だから話した。


 リナさんは俺の話を真面目に聞いてくれた。

 頷きながら真摯に受け止めてくれた。


「本当の名前はユウトだったりしない?」

 俺の話を聞き終わった後、リナは俺にそう問いかけた。


「ああ。そうだ。俺の本当の名前はユウトだ」


「やっぱり、ユウトの話を聞いてて、本当に少しだけ少しだけだけど、想い出が頭に浮かんだんだ。ユウトや他の仲間達と一緒に食卓を囲んでる幸せな想い出が・・・」


「そうか。そんな想い出があったのか・・・。

 さっきも話したがそういうことがあったと感じるが記憶が戻ってるという訳じゃないんだ。

 今の所はただ、デジャヴを感じるだけだ」


「確かにそうね、・・・ねえ?質問だけど?私以外にもデジャヴを感じる人はいないの?」


「今の所はいない。リナはどうだ?」


「私もいないわ。相川とはリアルでも仲が良かったから、一緒に行動をしてると思ってたけど、特にデジャヴとかは感じなかったわ」


「そうか。じゃあもしかしたら1周目の世界では別行動を取ってたのかもな」


「そうかもね」


「まあ相川のことは一旦置いておこう。取り敢えず、これからどうする?」


「そうね。・・・正直な話をすればユウトの話はまだ半信半疑だわ。デジャヴを感じるし、筋も通ってる、私の心が信じていいと言ってる気もする。

 それでも盲目的に信じるというのは難しい話だわ。証拠も足りてないし、内容が余りにもめちゃくちゃ過ぎる」


「まあ、それはそうだな。ぶっちゃけ俺もめちゃくちゃな話だと思ってるしな。それでもそういう可能性があると半分でも信じてくれたなら嬉しい限りだよ。

 一応、俺としてはこれから【死に戻り】スキルもあるし多少無茶をしてでも強くなって1周目の世界の仲間達もといデジャヴを感じる人を探そうと思ってる所だ」


「1周目の世界の時の仲間を探すのは私も手伝うわ。ようはデジャヴを感じる人を探せばいいってことよね」


「まあ、端的に言えばそうだな」


「じゃあ、見つけたらユウトにチャットで連絡するわ。それから1周目の世界の話、他、諸々全てを伝えるかどうかユウトが判断をして頂戴」

 

「分かった。そうするよ。ありがとうリナ」


「こちらこそありがとう。ユウト」

 俺はカフェを後にした。





―――――――――――――――――――

 

 補足説明

 二人はガチ無意識でリナ、ユウトと呼び合ってます。

 因みにリナもとい聖騎士のリーナさんは1周目の世界では聖騎士ではなく水魔術師になり、最終的には海の大精霊リヴァイアサンを従える精霊術師王になります。

 そんでもって薄々気が付いてる人がいるかもしれませんが1周目の世界にて獲得したスキルは獲得しやすくなってます。

 特にそのスキルを極めていれば極めてる程、つまり主人公が簡単に鍛冶のスキルを獲得してレベルを爆上げしたのはそういうことです。

 逆に主人公が鍛冶をする際に水魔法を簡単に覚えられなかったのは1周目の世界で水魔法を使ってなかったからです。

 逆にリーナさんは水魔法を覚えようとしたら一瞬で覚えますし、主人公の鍛冶と同じ感じて簡単にレベルが上がります。

 ぶっちゃけ今の所主人公バンバンスキル獲得してますが、そんな簡単に獲得出来ませんからね。

 以上、ネタバレになりそうだから最初は言わなかった真実です。

 まあ、この補足説明も相当なネタバレかもしれませんが、それはご愛嬌ということで。

 

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