第10話・かくしてデスゲームは始まりを告げる
ピコン
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謎の音が頭に鳴り響く。
【βテストサービス開始時間となりました】
【これより、キャラメイキングの終了している全ユーザーを始まりの町へと転移させます】
急に視界が真っ暗となる。
そして数秒した後、視界が戻る。
そこには町が広がっていた。
時代背景的には中世ヨーロッパくらいであろう町並みが広がっていた。
住民がいて、普通に生活していて奥には大きな城があった。立派とかそういうレベルじゃない、もはや一種の感動すら覚えるレベルだった。
「ここが、初心者の町・・・凄いな。本当にリアルだ。これがVRMMOゲーム、これがマジック・ワールド・ファンタジー」
「確かにそうだな。凄いリアルだな」
すぐ隣に相川がいた。
更にその隣にはリーナさんもいた。
どうやら待合スペースの近くにいた人とは一緒に転移される仕組みらしい。
「相川もそう思うか」
「当たり前だろ。こんなの初めてみたよ。凄いなVRMMOゲームってのは。これからどんな冒険が待ち受けてるのか、楽しみでしょうがないぜ」
「確かにそうだな・・・」
ただ、今現在、俺だけがこの世界がデスゲームとなることを知っている。
その楽しみという感情は消え、地獄になるのを知ってしまっている。
でも、流石に言えない、言うことが出来ない。
言ってしまったら最後、冗談と突き放されるか、阿鼻叫喚の地獄絵図となるのが用意に予測できるからだ。
「どうした。暗い顔をして、せっかくのVRMMOゲームだぞ。楽しもうぜ」
「ああ。そうだな。すまん」
「おい、相川?今からの冒険にそいつも連れて行くのか?確実に足手まといになるぞ」
聖騎士のリーナさんが少し冷たい声で相川を問い詰めた。
足手まとい、確かにそうだな。聖騎士のリーナさんは上位職業【聖騎士】&全ステータス+50あるから普通に化け物強いし、相川も俊敏のステータスが22もあり、狩り人という遠距離攻撃担当だ。
それに比べて今現在の俺は職業なしの雑魚だ。スキル【死に戻り】と化け物じみた器用があるとはいえ、戦闘に役立つかと言えば、まあ、無理だろう。
ただ、これは都合がいい。この世界がデスゲームであるということがどれくらいの時間で告知されるか分からないが、出来ることならそれまでの間に他の人に話しかけて情報を集めていたいからな。
「あ、実は俺元からソロで行動するつもりでしたので、そういう心配はしなくても大丈夫ですよ」
「そうなのか。それなら良かった。なんかすまんな。気を使わせたみたいになって。そうだ良かったら私とフレンド登録しないか」
おそらく現在このゲーム内において最強の彼女とのフレンド登録。
これの価値はデカいな。
話してる感じ悪い人じゃないと思うし、フレンド登録しておくにこしたことはない。
「願ったり叶ったりです。よろしくお願いします」
俺は彼女と握手してフレンド登録した。
「じゃあ、ユウヤまたいつかな」
「ああ、またいつか。・・・相川、命を大事に行動してくれよ」
「何だよ。ドラ〇エかよ。まあ分かった。命を大事に行動するよ」
二人は何処かに行ってしまった。
「さて。これから情報集めに勤しみますか」
俺は色んな人に話しかけてみた。
何人かには煙たがられて、追い払われたりもしたが、気の良い人や自慢のしたい人は多く。
聞いてもいないのに自分のステータスやスキル構成を喋ったりしてくれる人は一定数おり、様々な情報を手に入れることは出来た。
ただ、有用な情報であるかどうかでいえば微妙なラインであり、そろそろ、情報収集は辞めて町の探索でもしようかなと考え始めた時だった。
一人の女性が「ログアウト出来ない」と大騒ぎした。
この情報はあっという間に広がり、皆がログアウト出来ないとざわざわと騒ぎ始める。
運営のバクだろ?とか、何かしらのイベントが始まるんじゃね?とか、もしかしてたら宿屋でしかログアウト出来ない?とか、色んな憶測が飛び交い始める。
流石にデスゲームという結論に辿り着く人はいなかった。
でも、俺だけはデスゲームだと知っている。
知ってしまっている。
その時だった。
急に嫌な予感がした。
もの凄く嫌な予感が。
そして、その予感は当たってしまった。
目の前にいきなり画面が現れた。
その画面にはこう記されていた。
【この世界においてログアウト及び蘇生が不可能となった】
【この世界で死亡した場合は現在世界の肉体の脳に電圧を流しで死亡させる】
【不可能となったログアウトを復活させる方法は2つである】
・1つ目はゲームのラスボスとして君臨している【魔王・サタン】を討伐すること。
・2つ目は誰もプレイヤーをキルしてないプレイヤーを10人キルすること。
以上
諸君らの血沸き肉踊るデスゲームを期待している。
と。
そして、この瞬間に最高の楽しかったはずの新作VRMMOゲーム・マジック・ワールド・ファンタジーの世界は地獄へと変わった。
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