第18話・最強王と暗殺プレイヤー


 最強王の方は最弱王と違い、かなり時間のかかる結果となった。

 

 そして想像以上に地獄の展開となった。


 まず、最強王の方はじゃんけんに勝てば一人だけだがログアウト出来るというものだ。


 そう一人だけログアウト出来るようになるのだ。

 このふざけたデスゲームから脱出が出来るのだ。

 明らかに難易度高そうな条件1である魔王【サタン】の討伐をしなくても、良心が痛む&反撃で殺される可能性の高い10人キルという条件2を達成しなくてもログアウト出来るんだ。


 さあ、皆で平等にじゃんけんでもしましょうなんてなる訳がなかった。


 30人全員が脱出したかった。


 そうしてはまず最初に始まったのが、人数減らしだ。

 流石に殺し合いにまでは発展しなかったものの、割と醜い口論をしたり、弱そうなやつを無理やり拘束してじゃんけんで負けさせていく訳だ。

 

 かくして30分ほど醜い罵り合いと、取っ組み合いの結果、人数は13人まで減る訳だ。


 この時点では死者はゼロ。

 死者はゼロだが、取っ組み合いをしてる結果、ほぼ全員がHPを半分以上減らしているという中々に混沌とした状況になっていた。


 で、事件は行った。

 否、地獄は始まった。


 一人のプレイヤーが短剣を使い、近くにいたプレイヤー二人の首を掻っ切って殺害したのだ。


 起こるは大混乱、残ってた10人のプレイヤーが、そのプレイヤーをキルもしくは拘束しようと襲い掛かる訳だ。

 件のプレイヤーはその攻撃を避け、更にキル数を稼いでいく。


 一人、また一人と的確に急所である首を狙い攻撃して一撃で仕留めていく。

 おそらくではあるが、スキル【短剣術】【暗殺術】【急所攻撃】【人系統ダメージ量上昇】等の暗殺特化のスキルを覚えているのだろう。

 そんでもってステ振りも攻撃力と俊敏にそれぞれ50ずつ振ってる感じがした。


 気が付いたら、件の暗殺プレイヤーはキル数9を達成して、残りの人数は4人となる訳だ。


「ラスト一人だ、俺の為に死にやがれ~~~」

 後一人キルすればログアウト出来るという高揚感からか、がん開きの目で叫び散らしながら残ってるプレイヤーに襲い掛かる。


 グサッ


 襲われたプレイヤーはろくな抵抗もせずに心臓を一突き。


 死んだ、誰もがそう思ったが、そのプレイヤーは生きていた。

 どうやら、スキル【根性】辺りを習得していたらしい。


 そして叫ぶ。


「残ってる二人とも、後ろからコイツを斬れ」


 その言葉に反応して残ってたプレイヤー2人が後ろから斬りつけた。


 攻撃力と俊敏にステ振りをしていたからか、紙装甲であった暗殺プレイヤーはその攻撃を受けてあっけなく死亡した。


 ドキドキワクワクじゃんけん大会、最強王はじゃんけんとか一切関係なく戦闘により残り3人にまで減ってしまった。


 流石に3人とも理性的であったのか、戦おうとはならずに話し合いの末、正々堂々とじゃんけんをして決めることとなり、さっき暗殺プレイヤーに心臓を刺されながらも生き残ったプレイヤーがじゃんけんに勝ち。


 見事ログアウト出来る権利を勝ち取った。


 ピコン

【ドキドキワクワクじゃんけん大会、最強王が決まったよ。

 最強王に選ばれたのは、プレイヤー【DER2V】だよ。

 おめでとう!

 プレイヤー【DER2V】には優勝商品としてログアウト出来る権利が与えられたよ。

 プレイヤー【DER2V】はいつでも好きな時でログアウト出来るようになったよ】


 運営から相変わらず人を煽るようなメッセージが届いてから、優勝したプレイヤー【DER2V】が「ありがとうございました。先に失礼します」と頭を下げてからログアウトしたのだった。 

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