第17話・処刑執行
最弱王決定戦の方は一瞬で決着がついた。
あらかじめ俺もとい相川からチャットにて助言を受けていたリーナさんが件の大柄で金髪の男ないし馬鹿の所業を暴露して生贄にするという提案を行う。
誰も死にたくなかったので、それを沈黙という形で了承する。
正直、馬鹿が本当にクズ野郎かどうかなんてのは、関係ない気はした。
馬鹿とリーナさんを除く28人からしてみれば、何もしなくても、取り敢えず沈黙を貫いてるだけで、全く知らない男が勝手に犠牲になって自分たちの命が助かるのだ。
これ程楽なことはないというものだ。
もちろん馬鹿も死にたくないので、必死の抵抗を見せようとするが、圧倒的なステータスを持つ、リーナさんによってあっけなく拘束。
その後、無理やりグーにさせられて全員でじゃんけを行い終わらせた。
ただ。問題はその後に起こった。
馬鹿がじゃんけんで負けて最弱王となった瞬間に現れるは、数十本以上ある大量の謎の剣。
その剣は異様な程に禍々しく、明らかに呪われているという言葉がしっくりと来る剣であった。
色は黒と赤であり、刀身は恐ろしい程に輝いていた。
ピコン
【これより最弱王、否、生きる価値のない敗北者に対する処刑を執行します】
赤色で画面に文字が現れる。
グサッ
グチャ
剣が馬鹿の四肢を貫いた。
グサッ
グサッ
グサッ
グサッ
グサッ
グサッ
軽快な音と共に馬鹿の体を剣が貫き続ける。
馬鹿の顔は苦痛に歪み、「助けてくれ」と叫ぶ。
それでも剣は貫くのをやめない。
ゲームの世界の筈、否、ゲームの世界であるからこそ、剣が刺さり、抜けるごとに大量の血が噴き出て、痛みを強調させる。
血が出過ぎたのか、馬鹿の体の色が変色し、薄くなっていく。
顔は痛みとこれから殺されるという恐怖で歪み、その眼には一切の生気が宿っていなかった。
「ど、うして、俺が、こんな目に・・・」
グサッ
それを遺言に剣が馬鹿の首に落ちた。
そして死体は何事もなかったかのように消失した。
オロロロロロロロ
目の前ので馬鹿の処刑ショーを見てしまった女性のプレイヤーが一人、盛大に吐いた。ゲームの世界だが流石VRMMOというべきが、吐いたゲロも割とリアルに再現されていた。
俺はゲロを吐いた子に同情をした。無理もない。俺は画面を隔ててだから、多少は衝撃が軽減されるが、あんな惨いものを見たんだ。
それに、間接的にとはいえ、今画面の向こうにいる29人の手で殺されたと同じなのだから。
まあ、それを言い出したら、ある意味での主犯格は俺だけどね。草。
まあ、俺はメンタル強いし、どうせ誰か一人犠牲になるのは確定してたんだし、しょうがないって奴だ。
ピコン
【敗北者の処刑が終わったよ。
じゃあ、次は最強王を決めるよ。
最強王はなんとログアウト出来る権利が貰えるよ。
イエーーーイ、ウェーーーイ。最高だね。
さあ、選ばれし30人よ、頑張ってね。
レッツじゃんけん王】
無駄にテンションの高い文章が運営から送られてきた。
何というかこの運営煽りレベル高いな。
まあ、デスゲームやってる運営に何を求めてるんだって話なんだけどね。
ただ今はリーナさんが無事生き残ったことを喜ぼうか。
――――――――――――
めちゃくちゃ今更かもしれないですが、主人公はメンタル化け物強いですし、性格も割と狂ってます。
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