第43話・【死に戻り】とやり直し
「相川が殺された、だと・・・」
相川とは付き合いが長いという訳ではない、このゲームで初めてあった関係だ。
ただ、相川は良い奴だった。
少なくともこんなあっけなく殺されていい奴ではない。
それも誰に殺されたって?
一丸?そいつはさっき出会った紫髪のアイツか?
俺が裏切ったんじゃないかってデジャヴを感じたアイツか。
クソ、こんなことになるんだったら俺も相川と一緒に狩りに向かってればって、いや、まだ大丈夫だ。
まだ取り戻せる。やり直せる。
そう、まだやり直せるんだ。
デスゲーム、一度失われた命は取り戻せない、それが普通だ。それが当たり前だ。
ただ俺は取り戻せる。
だって俺には【死に戻り】があるのだから。
俺は星三武器を取り出し、自分の腹を貫いて死んだ。
死亡しました。
ユニークスキル【死に戻り】が発動します。
【死に戻り】する時間を選択してください。
00:00
「よし、来た。えっと、戻るならリナとの話が終わって鍛冶場へと向かう途中かな?
時間でいえば、そうだな、40分くらいだったかな。一応余裕を持って45分にしよう」
00:45
さあ、死に戻れ。
45分の死に戻りを行いました。
意識が途切れる。
そして、覚醒する。
目を開けると目の前にはリナがいた。
「じゃあ、見つけたらユウトにチャットで連絡するわ。それから1周目の世界の話、他、諸々全てを伝えるかどうかユウトが判断をして頂戴」
リナが俺にそう喋っている。
どうやら話がほとんど終わった場面のようだ。
「リナ、落ち着いて聞いてくれ。俺は今【死に戻り】をしてきた」
「【死に戻り】って?例の特殊スキル」
「ああ、そうだ、という訳だから今から俺が未来で知った情報を伝える。未来、具体的には今から45分後に相川が一丸というプレイヤーによって殺されたというチャットがリナによって俺に送られてくる」
「そんなことが・・・嘘ではないよね・・・いや、嘘を付く理由がないわね」
「ああ。そうだ。それともう一つ大事なのが、俺が今から数分後にここを出て軽く買い物をしてから相川と一緒に喋っている一丸と出会う。そして、そこで一度裏切られたような不思議なデジャヴを感じたんだ」
「一度裏切られたって、もしかして1周目の時に・・・」
「その可能性は高いと思う。そしてリナ同様に一丸という奴も同じようなデジャヴを感じてる可能性が高い」
「それは確かに、あり得るわね」
「ああ。そうだ充分にあり得る話だ。そして一丸がどんなデジャヴを感じたのかは分からないが、それでも俺の感じる裏切られたようなデジャヴと未来で相川を殺したという点からろくなものではないだろう」
「そうね。・・・あくまで私の予想だけど、その一丸ってプレイヤーは最初は仲間だったけど、とある理由でPKを行い、その快楽に溺れて仲間を1周目の世界の私達を裏切りPKに走ったって可能性が高そうじゃない?
よく、物語でそういうのあるし」
「確かにあり得そうだな。まあ、一丸が一体何者で1周目の世界で何があったのかは今は置いておこう。取り敢えず今一番大切なのは相川が一丸に殺される未来を食い止めることだ」
「それもそうね」
「という訳だから、今から相川と一緒に狩りに行くつもりだっただろ?俺もついていく。そこで相川が一丸によって殺されるのを食い止め、一丸が何故そのような凶行に及んだのかを突き止める」
「分かった。そうしましょう。もちろん私も協力するわ」
「ありがとう。リナ」
「あ、今、丁度相川からチャットが来たわ。一丸っていうプレイヤーも一緒に狩りに連れてっていいか?だって」
「え?俺がさっきというか未来で話した時は一丸は一人で狩りに行った筈だぞ、いや、待て、ということはここで俺が店を出ずに長く話したことにより未来が変わったということか?本来であれば歩いてる途中に相川と一丸に会ってる頃だろうし・・・」
「その可能性はあるわね。取り敢えず、今は相川と合流しましょう。私の方でユウトと合流することを伝えておくわ」
「ありがとうって、ちょっと待ってくれ、ユウトじゃなくてユウヤで送ってくれないか。俺も相川達がいる前ではリナじゃなくてリーナと呼ぶようにするから」
「確かにそれもそうね。分かった。そうしましょう」
「じゃあ、リーナ、相川が殺されるのを止めるぞ」
「ええ、もちろんよ」
そして、俺はリーナと一緒にカフェを出るのだった。
―――――――――――――――――――
補足説明というか言い訳。
主人公買い物してたし、相川と一丸に出会うまで大分時間かからない?
今のリーナと喋ってる時間の間で主人公が未来で出会う所まで時間立ってなくない?
ご都合主義です。
気にしないでください。
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