第28話・星3武器
俺の手元には柄がたったの2本しかない。
つまり柄を必要とする剣を作ろうとしたら後2本しか作れないという訳だ。
柄の事忘れてインゴット買ってしまった、純度100%の俺のミスなのだが、さて、どうしようか。
まあ、考えても仕方がない、剣を作っていくとするか。
俺は鉄インゴットを取り出して炉に入れて、炉に風を送り、色が変わったら取り出して叩き始める。
さっきの鉛インゴットよりかは形は変わりにくいが、その程度であり、充分に剣の作成が出来そうであった。
ピコン
スキル【鍛冶】のlevelが1上昇しました。
鍛冶のスキルレベルも上がった。
俺の鍛冶の腕はしっかりと上達してるらしい。
俺はひたすらに炉に入れ、風を送り、叩いてを繰り返した。
繰り返して、繰り返して、繰り返していったある時、ふと、大剣という言葉が思い浮かんだ。
今、俺の手元には柄が2本しかない。
2本しかないのだから、インゴットをいくつも消費して大剣にするのは良いんじゃないかと。
思いついたら即実行の精神で鉄インゴットを取り出して、今作成途中の剣に重ねてみる。
その時、俺の謎の直感のようなもの、否、俺の眼が、ここを叩けばより強い武器が生まれるという結論を出した。
鍛冶のレベルが上がった効果、なのか、器用の効果なのか、はたまら謎の○○という隠しステータスの効果なのか、よく分からなかったが、俺はそれに従って鉄インゴットを叩いていく。
自分の眼に従って叩いてい、叩いてひたすらに叩いていった時、鉄インゴットが大剣に吸収されるような形で中に納まり、何故か体積も小さくなった。
質量保存の法則何処に消えた?と思いながら、トングのようなもので鉄の剣を持ちあげている、気持ち軽くなっていた。
本当に質量保存の法則何処に行った?
ゲームの世界なんで、こういう摩訶不思議な現象に突っ込むのは駄目だなと思い、このことについて考えるのは辞めた。
ただ、一つ確かなのは、鉄インゴットを重ねて生まれたこれは普通の鉄よりも絶対に硬く、特別な何かがあるということだ。
俺はせっかくなので、他のインゴットも出して上に重ねてみる。
鉄インゴットを重ねてみた、叩けそうな感じはするが、何とくこれだけでは足りないような気がした。
もう一個鉄インゴットを出して重ねてみる。
これならいけると俺の眼が判断をした。
炉に突っ込む、風を送る、叩く。
叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いていく。
楽しくなってきた。
心が高揚してるのを感じる、ああ、凄く良い。
ピコン
スキル【集中】level1を獲得しました。
叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いていく。
無心で何も考えずに叩いていく、眼を頼りに示された場所を叩いてく。
炉に入れる、風を送る、取り出して、更に叩いていく。
叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いていく。
ピコン
スキル【鍛冶】のlevelが1上昇しました。
更に叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いて、叩いていく。
変化はゆっくりと訪れる。
少しずつ、鉄インゴットが溶けて一つになっていくのを感じる、少しずつ、本当に少しずつだが、剣の形となっていく。
一回、炉に突っ込み、風を送り、取り出して水に突っ込んだ。
俺の眼がそうするべきだと判断をした。
また、炉に突っ込んで、風を送り、色が変われば叩いていく。
ひたすらに叩いていく。
ピコン
スキル【集中】のlevelが1上昇しました。
一体、どれだけの時叩き続けたのだろう、鉄インゴット4つはまとまり、小さな短剣サイズの刀身となっていた。
このまま柄を付けて、完成でも良い気はした。
だけど、まだいける気がした。
俺は残っている鉛インゴット3つを取り出して、短剣とは別で叩き始める。
鉄インゴットの時よりも早く鉛インゴットが重なり、まだ完璧な剣の形にはなってない未完成の刀身が出来上がった。
俺はこの未完成の刀身と鉄インゴット4つから生まれた短剣、そして一つしかない銅インゴットを取り出して重ねて叩き始める。
同じようにひたすらに叩いていく。
炉に突っ込み、風を送り、色が変わったら、取り出して叩いて、変化が少なくなったら、また炉に突っ込んで・・・とひたすらに繰り返していく。
叩いて叩いて、ひたすらに叩いていく。
俺の眼が焼き入れの判断をすれば焼き入れを行っていく。
ピコン
スキル【鍛冶】のlevelが1上昇しました。
ピコン
スキル【集中】のlevelが1上昇しました。
ピコン
スキル【鍛冶】のlevelが1上昇しました。
一体どれだけの時間鍛冶に没頭したのか分からない程の時間が過ぎた。
ゲームの中である筈なのに身体中、汗でベタベタ、手は酷使し過ぎて痙攣してしまっている。
それに見合うだけの成果が今の俺の手の中にあった。
鉄インゴット4つと鉛インゴット3つと銅インゴット1つが謎のファンタジーな力により合体して生まれた刀身。
大きさは80センチ程、大剣と呼べるほどは大きくないか、普通の片手剣よりは少し大きめの剣。
色は鋼色に鈍く光っており、模様のように銅の色が中央に亀裂のような形で走っている。
ただ、あくまで模様であり、完璧に冷めた今、ハンマーで全力で叩いても傷一つつかなかった。
俺の努力の末に生まれたこの刀身と柄を組み合わせた。
ピコン
この世界で初めて星3武器を生産しました。
称号【熟練の鍛冶師】を獲得しました。
ピコン
この世界で初めて【合成吸収合金法】を使った物を生産しました。
称号【発見者】を獲得しました。
ピコン
使用levelが50以上の武器を職業選択を一度もしてないノージョブがlevel1で、それも2回目のの鍛冶で作成しました。
これは非常に素晴らしい偉業です。
運営から特殊スキル【装備必要条件全解除】がプレゼントされました。
「おお。なんか、色々と来た。星3武器ってのがどれだけ凄いのか分からないが。これは絶対に凄い奴やん。ああ、このゲーム楽しいな」
俺は自分の作成した剣を眺めながらそう呟いた。
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