第38話

城をしばらく眺めた後、俺達は夜ごはんを外で食べることにした。エミリーゼは美味しそうな飲食店があったからそっち行くと式神を飛ばしてきた。便利だよな式神。携帯のないこの世界で連絡を取る唯一の方法だ。式神の会社をたとあげれば普通に儲かるだろうな。ちょっと考えておくか。


「お兄様今日はどこに行きますの?」


「ゼリアだ」


イタリアンで西洋の料理が食べれる唯一の場所だ。まぁここの世界の料理は欧州の料理に似ているが、ちょっと古いんだよな。それにサイゼは安くて美味しい。それはこの国でも変わらない。俺も前世を思い出す前から何回も食べに来ていた。舌が覚えていたんだろう。


サイゼは今はアラスタじゅうにある。安くて美味しいからな。そりゃ広がるわ。恐らくサイゼを開店した人は店員だろう。


そしてゼリアに着いた。ゼリアはサイゼをモデルにしている。中世の西洋風の建物だ。ゼリアは大体建物を買い取って開業している。日本のサイゼと違いここはアラスタの画家が描いた絵が飾ってある。本店にはプロの画家が描いた絵が飾ってあるらしい。商人が言うには一石二鳥らしい。ニホンに行ったことないから分からないけれど。そして案内された席に座る。


「お兄様ここは歴史の感じる趣のある店なんですわね。って安すぎじゃないですの!」


「これがサイゼの魅力だ。安くて美味しい料理が食べれる。まさしく俺のいた世界のサイゼだ」


違いは高級感があるかないかだろう。ここは高級感のあるような店に見えて安いからな。まぁ本格的なのは高いから安いのは一部だけだが。それでも結構なメニューがある。


「このミラノ風ドリアにしますの。安いですし」


俺はペペロンチーノにするか。これで400エリザなんだから安いものである。数々の高級料理を食べてきたが、それには劣るが、コスパを考えると十分である。


「すいませーん」


「はいお伺いいたします」


「ペペロンチーノとミラノ風ドリアで」


ちなみにここにはドリンクバーはない。ジュースじたいがあんまり流行ってないからだ。アラスタの人はコーヒーとお茶を良く飲む。ジュースが流行ったのはタピオカぐらいだろう。


「分かりました。少々お待ちください」


そう言って厨房に向かっていた。周囲は学生で溢れている。つまり男同士で来ている奴らの視線が痛いのだ。しかもあいつらクニエスタ学院の奴らか。貴族に絡まれると面倒なんだよな。ルナの美貌は周囲の視線を集める。


するとクニエスタ学院の一人が俺たちににやにやしながら近づいてきた。恐らく庶民だから簡単に落とせるとでも思っているだろう。気に入らないな。


「そこの君僕と一緒にいた方がそこの庶民より楽しいよ。お金を持っているし。いろんなことが出きるからね。クニエスタ学院だから古式魔法だって得意だよ。君みたいな凡人にも分かりやすく教えられるよ」


ルナが凡人だと?お前の目は節穴か?ルナほど才能に溢れてる奴はいない。それに気づかないとはこいつクニエスタ学院でも下の方だな。相手の力量に気づかないのは二流だ。


「興味ありませんの。貴族だからと言って傲慢な人は余計にですわ」


「ちっお前の家がどうなっても知らんぞ。大人しくついてくればいいんだよ」


そう言って、ルナの手を握ったところで俺の何かが切れた。


「おい、俺の彼女に手を出すな。じゃないと木っ端微塵にするぞ。跡形もなくな」


俺は周囲に魔力を滾らせて、威圧をする。まさかアラスタ王立学院にここまで奴がいないとおも思っていたのだろう。最初は俺を見たときに軽蔑の眼差しを向けていたが、次第にがくがくと震え出す。


「失せろ」


さらに魔力の圧をかけると、ヒッと悲鳴を上げてお会計しに走っていた。あの程度びびるとかやっぱり大したことないな。エミリーだったら逆に魔力の圧で対抗してくるし。実力のあるものはそもそも効かないしな。実力がないのにルナをナンパしてどうにかしようなんて、百年早いわ。


「お兄様カッコ良かったですわ。特に俺の彼女に手をだすなはキュンキュンしましたの。だけど好きになったわけじゃないですわよ」


「分かってるよ。飲み物を持ってくるがお茶でいいか?」


「お茶でいいですわ。ホットでお願いしますの」


「分かった。んじゃナンパされないように気を付けろよ」


まぁあれだけ圧を加えたから話しかけてくる奴はいないだろうが。いてもそれなりに実力のある陰陽師くらいだろう。そう思い俺は飲み物を取りに行った。


俺は冷たいのでいいか。ペペロンチーノに温かいのはあまり合わないし。コーヒは食後に飲んだ方がいいからな。俺は2つ分の飲み物を持って行くとルナは目をつむり魔力を手のひらに集めていた。魔力は自在に操れると防御できたり、魔力の塊を当てることができる。


「ルナ持ってきたぞ」


するとルナはふぅーと息を吐き魔力を他のとこらに循環させた。そこまで出きるのか、俺は魔力を自在に操ることはできない。そういえば魔法書に周囲の霊気を自在に操る秘伝の魔法があったな。今度エミリーゼに聞いてみるか。


「ありがとうございますの。風磨やっぱりお茶は落ち着きますわね。心なしか魔力も漲ってきますの」


まぁお茶には魔力を強化する効能もあるからな。これは偶然できたらしい。そんなことを思っていると料理がきた。やっぱり美味しそうな香りしてるな。香ばしいというかなんというか。とりあえず美味しそうだから早く食べたい。俺達はいただきますと言って食べ始めた。













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