第12話

「お兄様郷土料理は地元感があっていいですわね」


「まぁなトラストじゃないのか?」


「トラスト色んな国の料理が多いですけど、郷土料理はないですの」


文化と食の地でもあるトラストは郷土料理はないのか。まぁ他の国の美味しい料理が揃っていればわざわざ郷土料理を作る必要がないのか。それにトラストはフレンチみたいな高級料理が有名だ。この料理はマーブという国の高級料理だ。


「まぁ楽しみにしておいてくれ。美味しいからな」


俺も地元にいるときはいつも食べていた。故郷の味っていうのはいいものだ。やがて料理が運ばれてきた。野菜の新鮮さがサラダからでている。ご飯も地元産で柔らかそうで美味しそうだ。


『いただきます』


一口ルナは口にいれると目を見開いた。そしてご飯も食べた。そうだろ驚くほど美味しいだろう。素材の味を殺さずつけっているからな。特にここの店は歴史があっておい野菜を使っている。


「美味しいですの。野菜のしゃきしゃきかんとシンプルな炒めもの最高ですわ。そしてこのお米もふっくらしていて甘いですわ。こんなお米トラストにはなかったんですの」


「気に入ってもらえてなによりだ」


これなら食で困ることはなさそうだ。すぐに慣れるだろう。通いで行ける飲食店があるって抱けて大分違うからな。それにしてもよく食べるな。めっちゃ集中して食べてるじゃん。連れてきてよかった。


そしてあっという間に食べ終わった。それだけ気に入ったってことだろう。後は文化さえ馴染めればここでもやっていけるだろう。婚約者はいないし悪役令嬢ぷりは発動しないはずだ。家柄を誇ったりはしてなかったはずだし。


「美味しかったんですの」


「そうか、もうちょい商店街を回るか」


ここは古い建物が並ぶこの国の屈指の文化財だ。見るだけでも価値はあるだろう。武器屋とかも歴史があり様々なものを取り揃えている。わざわざ城下町から来る冒険者もいる。観光スポットとしてもそれなりに有名だ。第2の産業でもある。まぁここを除けば田舎だが。


「そうですわね。町自体もなかなかいい味を出してますの」


「アラスタが誇る商店街だからな。歴史も結構長い」


至るところに古式魔法師の結界らしきものが見受けられる。これはかつて魔物や幽霊が入れないようにするために張ったものだ。今は魔物は来ないからどっちかというと幽霊対策だがな。


「そうなんですの。それにしてもなぜこれほど優れたものがあるのに落ちた国と言われてんですの?」


「昔がすごすぎたんだよ。古式魔法師の時代な。魔法師がでてきて、価値が落ちた。それで留学生が減って、経済力以外に価値がなくなったんだよ」


経済力は4位の大国だ。農業が大半を占めているが、この国には未だに古式魔法師を重視していて、ひとつの職業に古式魔法師がある。結構稼げるらしい。魔物を狩ったりしてるからな。人相手だと不利だが、魔物にはその破壊力から有利だ。それに古式魔法師は魔力も普通の魔法師よりも多い。まぁ古式魔法師は魔法を使えない人も多いが。


「古式魔法は破壊力だけなら魔法よりも上かもしれないですの。魔物にたいしてなら古式魔法のがいいですわね」


「まぁだが、魔法でも大抵の魔物は倒せるからな。便利さ詠唱の短さからすると魔法の方が便利なんだよな」


「でも私は古式魔法を学びたいと思ったんですの。この国の学校なら学べますわよね」


魔法科希望か、だとするとうちの地域じゃあそこしかないが、深くは学べないよな。王立学院じゃないと。そこまでコネがあるかどうか。中央の貴族にも知り合いがおるって言ってたがどうなのか。政治には関わってないからそこまで深くはないよな。


それから色んな古い建物を見たり、美術館や博物館に行ったりした。それとタンスとかを買ったり、パジャマを買った。そしてそろそろ夕方になってきたので帰ることにした。


「色々買ったな。転移魔法で送ってくれるから荷物を持たなくて助かるからありがたい」


なぜか便利な魔法だけうちの国では専門業者がいるのだ。多分他の国から来た人だろう。アラスタは古典的な人が多いし。


「トラストでもそんな感じでしたわ。だからついいっぱい買っちゃうのですわよね」


「それじゃ帰るか」


それで家に帰ってきた。転移魔法で既に荷物は届いてるようだった。早いな。ほんと魔法は便利だよな。うちの国の人材じゃ魔法師はいないからもっと他の国から補充してほしいが。


そして部屋に荷物を置いた。筋力強化の魔法を使ってな。魔法はバリエーションが多い。日常で使えるものが多い。だから結構使ったりしている。そして布団を見ると、ルナは目を輝かせた。


「久しぶりの布団ですわ。今日はゆっくり寝れそうですの」


今まで外で寝てきたなら気持ちよさげに寝れるだろう。


「そうか。この後親父から話があるらしいから居間に行くぞ」


「分かりましたの」


そして俺たちは居間に来た。すると既に親父はいて、椅子に座っていた。俺たちも椅子に座った。


「それでルナの学校のことなんだが。アラスタ王立魔法学院に通わせることにした。コネを使ってな」


まさか王立ともコネがあるとは驚いた。王族ともコネがあるのか?まぁこれで同じ学校に通えるから不安材料はなくなった。同じ学校に通えることに喜びを感じた。





 















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