第11話

はぁー疲れた。何で兄妹設定なのにお姫様抱っことかあるんだよ。後ほほにキスとかもはや兄妹の域を越えてるだろう。まぁ役得だけど。推しとそんなことができるんだから、だが勘違いしないように抑えるので疲れた。


「お兄様落書きもできるみたいですわよ」


「それはルナの自由にやってくれ。俺はそこのベンチで待っているわ」


「分かりましたわ」


俺は隣の店でマッカンを二つ買い飲んでいた。ここの店マッカン置くようになったんだな。これはマッカン愛飲者がこの辺で増えたってことか。それは嬉しいことだ。あれを飲まないとか人生の半分は損している。


「落書き終わりましたの」


そう言って俺にプリクラを見せてくる。これかずっと一緒にいますのと書いてある。いわれなくてもずっと一緒にいるがな。後はルナがどこかの王族に取られないように努力するだけだ。


「ありがとな。これかるも離れたいと言っても離れないからな。俺はシスコンなんだ」


「そこまで言うなら離れませんわ」


そうして互いに笑い合う。この幸せがいつまでも続けばいいのにな。だがトラストでは今不穏なことが起こってることをこのときの俺は知らなかった。


それからユーホキャッチャーをやりかわいい組まさんの人形を取ったりした。どんだけニホンは日本を再現してるんだよ。もしかして転生者一人じゃない可能性があるな。いくらなんでもこんなに知識があるのは可笑しい。これだけの技術があると原作にも関わってくる可能性が高い。悪い方向に行かなきゃいいが。魔王を倒すのにはこれ以上の戦力がないがな。


「ふふ、このくまさん可愛いですの。何て名前をつけましょうか」


「セゾンとかどうだ?」


「いい響きですの。確か季節でしたわよね」


「一緒に多くの季節を過ごそうと思って名前をつけてみたんだがどうだ?」


俺はが犬を買おうと思ったときにつけようとした名前だ。セゾンって響きも美しいだろう?フランス語なんだ。元々高校ではフランス語を専攻してたし、ここの国の言葉もフランス語に似ている。まぁ生まれたときは前世の記憶はないからすぐに覚えたが。ニホンのものの名前も覚えるの早かったな。前世が関係してたのだろう。


「いいですの。さすが私のお兄様ですわ。センスが違うんですの」


ツンデレのデレがでたな。たまらなくかわいい。しかも満面の笑みで。これが天使か。妹にしてよかったと思った瞬間である。推しだから恋愛感情に近いが少し違う。アイドルを応援する仮想恋愛に近い。それにまだエマのことを想っている。相変わらず諦めが悪いもんだな。


「ふっセンスは抜群だからな」


「名前のセンスはいいですの。でもそのよく分からない生き物のキーホルダーはセンス悪いと思いますの」


え?これかわいくない?目がでかくて頭が尖っているなぞの動物。実際にいるかどうか都市伝説になっている。俺は異世界で見たことないものを見てきたからいると思っている。


「可愛くないか?特にに目が」


「目がでかくて腐ってるって怖いですの」


やっぱ異世界と俺のセンスは合わないのか。そういえば前世でもなになぞの生物のキーホルダーつけてるのかとか言われたな。それじゃ俺のセンスがないのか?物を選ぶときはセンスあると言われるのだが。自分の物だとないのかね。


「そこがいいんだが。まぁ飯やこの後どうする?郷土料理でも食べていくか?」


「いいですの。きっと新鮮なんですわよね」


「新鮮な野菜だ。まぁ炒めるが」


野菜炒めに近い感じだ。それプラスサラダ。それと酸味の効いたスープだ。サラダはドレッシングをかけないのがうちの地域の食べ方だ。後は坂なの塩炒めだが。


「それじゃそこに行くんですの」


「そこは俺がおごるぞ。結構量があるが食べれるか?無理そうなら俺が少し食べるが」


「大丈夫ですわ。これでも結構食べる方ですの」


「それならいいか。店構えは古くさいが中は綺麗だから安心してくれ」


そして少し歩くと店に着いた。相変わらず年季が入っているな。何世代もこの店はやっていて、店構えもそのまんまなんだよな。古式魔法でなんとか今の形を留めている。


「確かに古くさいですの。でもそれが味をだしていますわ」


女子映えるところが好きだと思っていたが、ルナは違うみたいだな。貴族なのに珍しいな。貴族は豪華展覧のところが好きなイメージがある。先入観で物事を語っちゃダメだな。


店にはいると清潔感が漂っている。これも古式魔法で汚れがつきづらくしてるんだよな。ここの店主は古式魔法師である。代々古式魔法師をやっている家系でもある。


「おー久しぶりだなミキ」


「おじさんこんばんわ。今日は郷土料理を食べに来たよ」


「そこの上品な彼女の観光ついでかい?」


「今日から俺の妹になったルナですよ」


「初めましてエリーゼ.ルナです」


スカートを裾を持ちながら上品に挨拶をした。さすが元貴族上品さがあふれでている。おじさんはその挨拶に少し面食らっていたが、すぐに紳士みたいに腕を左肩に当てて頭を下げた。


「俺はゴードン.ワトソンというんだよろしくな」


「よろしくお願いしますの」


何で養子入りしたかは聞かないで置く辺り空気の読める店主だ。


「おじさんそれじゃ郷土料理の野菜炒めセット二つお願いします」


「分かった。よし気合いを入れて作るぞ。美少女に食べてもらうんだからな」


相変わらずの女好きだな。グラビアを見まくっているだけはある。奥さんはそれを了承してるから懐が広いんだろう。そして俺たちは料理ができるのを待った。店には人はそんなにいない。隠れスポットだからな。今までの貯蓄でこの店は成り立っている。明後日には城下町に帰らなきゃ行けないから今日を目一杯楽しもう。ルナを見ると目が爛々と輝いていた。食にこだわりがありそうだな。






















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る