第34話

俺達はゲーセンに入ると、カップル達が苦戦しながらユーホキャッチャーをやっていた。ふっ俺の腕がこれなら目立つな。まぁ日本人として異世界の人に負けてられないがな。するとクマのぬいぐるみところでルナは止まった。これがほしいのか?


「可愛い動物ですの。これはお兄様の世界にいた動物ですの?」 


「まぁ実際はこんなに可愛くはなくないがな。モデルになった動物なら存在する」


そうか、この世界にクマはいないのか。魔物がびゃっこしてるこの世界じゃクマは生きられないもんな。肉食とはいえ魔物には劣るし。魔物は退治してもどんどん沸いてくる。魔王を倒しても魔物はいなくならないからな。だが魔物を率いる魔人や鬼人達を滅ぼせば規律はなくなるだろう。


「そうなんですの。会ってみたいですわ」


「俺の世界じゃこっちでいう魔物みたいな扱いだがな。まぁ魔法が使えれば問題ないんだが」


銃でも倒せるしな。魔法なら木っ端微塵だろう。この世界に転生してから怪物みたいな見た目でも恐怖は感じなくなってきた。慣れると魔物倒すときの異臭も気にならなくなる。戦争はは恐らくなれないだろうが。だがいつか人間に似た魔人や鬼神を殺さなくてはならない日が来るから慣れておかないとな。行動が遅れたら致命傷になりかねない。


「魔物ような扱いですの。でも日本の科学力なら問題ないんじゃないんですの?」


「生き物に大して兵器は使わないぞ。そうすると生き物を大切にしろという団体が出てくるからな」


「この世界ではありえないですわ。魔物を保護しろなんて王国が怒りますの」


「まぁ魔物は人間に害をなすからな。クマは人間のせいもあるからな。町に出没するのは」

周りのユーホーキャッチャーを見渡すと、魔物を可愛くしたぬいぐるみも取れるようになっている。あれなら欲しがる奴も多そうだ。まぁみんな取れなくてなくなく諦めてる人が多いが。


「んじゃ取るわ。まぁみて覚えてくれ」


まずはアームの強さを確認するためにぬいぐるみを持ち上げてみる。ふむ、左が弱いのか。それなら出口まで持っていて右で押して出口に落とすか。


俺はまず出口に近づけさせながら落としていき、最後に右のアームで押し込んで落とした。クマのぬいぐるみをルナに渡すと、大事そうに抱えた。


「お兄様からの初のプレゼントですわ。大切にしますの」


「ああ、それならそのくまさんも喜ぶだろうな。美少女と一緒にいるんだから」


着替えもみれるんだよな。ちょっと羨ましいな。いや兄なんだからそんな変態な考えを向けてはダメだ。くまさんは心なしかにこにこしてるように見える。良く見てみると少し霊気を感じる。我があるのか?出来ればメスであってほしい。


「そうだお兄様にこのくまさんと一緒のキーホルダーをプレゼントしますわ。大量においてあるので一つくらいなら取れそうですの」


「それは掬うように取るんじゃなくて、アームで近くのやつを押すように取った方がいいぞ」


分かりましたの。銅貨をいれて始める。最初はアームをコントロールするのに手間取っていたが、次第に慣れてきたのか、アームうまくコントロールできるようになり二つ取れた。


「フフ一個はお兄様で、もう一個は私がつけますの。お揃いですわ」


同じものをつけるとか最高すぎる。推しと一緒のものをつけるとか小の世界に転生できて本当に良かった。前世は特に青春とか送ってなかったし、今がその青春なんだろう。


「ありがとな。大事にするわ」


「それ学院に行く鞄につけてくださいわ」


「何でだ?」


「牽制ですの。お兄様は私のものだという。でも決して好きなわけではありませんわ。愛情を注いでくれるから大切に思ってるだけですわ」


ツンデレな。兄として愛してはくれてるみたいだ。めちゃくちゃ嬉しい。これが真実の愛か。ますますルナを誰にも渡したくなくなってきた。例えソレイユ様が現れてもな。


「そうか、大切に思ってくれて嬉しい」


「お兄様は離れていったりしないですわよね。エミリーに好かれているみたいですけど」


俺のことをエミリーが好きのはライクだろう。幼馴染みで付き合いは長いからな。嫉妬していたのは、幼馴染みが離れるかもしれないと思ったからだろう。婚約も血筋と実力をみてだろうな。本人は乗り気みたいだが、他の人と婚約するくらいなら俺の方がいいと言った感じだろう。


「それはないだろ。あいつならもっといい人に出会える」


「お兄様ほどいい男の人をみたことはありませんの。お兄様は自分を卑下しすぎですわ。お兄様はイケメンですし、優しいですし、どんな困難にも立ち向かう勇気がありますわ」


そこまで評価されてると照れるな。でもそれは助けたから美化しすぎな面もあると思う。だからルナはいづれ俺よりも素敵な人を見つけるだろう。引く手あまただからな。


「誉めすぎだ照れちゃうだろ」


「本当のことですわ。お兄様の妹になれて幸せですの」


それは俺がこの決断が間違ったなかったことの証明になる。これからも大切にして、クラスにも馴染めるようにサポートしていこう。新たな決意を胸に秘めてゲーセンを出た。














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